【TMB概要】ツール・ド・モンブラン~ロングトレイル~概要編

ツール・ド・モンブラン

フランス、イタリア、スイスの国境を越えて名峰モンブランの周囲を一周する約180kmのロングトレイル、ツール・ド・モンブラン(TMB:Tour du Mont-Blanc)。雄大な山塊・氷河を間近に眺めつつ、多様な高山植物を楽しみながら次々と国境・峠を越えていくこのコースは、数あるヨーロッパ・アルプスのトレイルの中でも随一の人気コースに挙げられます。

全ルートを完全踏破した体験と共に、その絶景・魅力等をご紹介します。今回はトレイルの概要です。

ツール・ド・モンブランとは

ツール・ド・モンブラン(TMB:Tour du Mont-Blanc)とは、フランス、イタリア、スイスの国境を越えて名峰モンブランの周囲を一周する約180kmのロングトレイルです。「TMB」と書かれた標識・目印がトレイル上によく整備されており、トレイル初心者であっても道に迷うことはあまりないでしょう(でも地図かGPS機器は必須です)。

スタート地点はどこからでも良いのですが、今回は名峰モンブランの麓に位置するフランスの山岳リゾート地、シャモニー(Chamonix-Mont-Blanc)としました。この町は、夏はハイカー、冬はスキー客で大変賑わい、近隣空港等からのアクセスも良好です。ここから、マッターホルンの周囲を反時計回りで進んでいきます。なお、逆回りやコースの一部を楽しむ人も大勢います。

コースの標高は約1,000~2,500メートルで登り・下りを繰り返します(最高点は2,665メートル)。全行程の踏破には、(脚力等にもよりますが)一般に10日前後とされており、コース沿いに点在する整備された山小屋・ホテル、テント泊であればキャンプ場を利用します。

おススメのガイドブック

今回利用したガイドブックは以下の本(英語版)です。このシリーズはこれまで踏破したロングトレイルでも毎回利用しており、必要な情報がよく網羅されています。また、ガイドブックと共に持ち歩いた地図は以下です。この地図は全行程を一枚の地図で詳しく見られるため、トレッキングの間、日々どこまで進み、残りの行程はどのくらいか確認できます。最終ゴールの際に、マーキングが繋がり、ひとつの周遊ルートとなった時には感動しました。

ガイドブック。1日毎に分けられ、細かいコースの内容や、経由地、標高差、コースタイムなどわかりやすくまとめられている。英語。

ツールドモンブランのコースが一枚で確認できる地図。

(ご参考)日本語のガイドブックもあるようなので(2015年出版)ご案内しておきます。サンプルを見る限り、内容も充実しているように思います。

コース日程

踏破した際のコース日程は全9日間でした(図表1参照)。各行程の魅力は次回以降ご紹介していきますが、今回は全体の概要を簡単に触れておきます。

図表1:行程表

日数行程距離登り下り時間
1日目Le Brevent – Les Houches10km0m1,550m4h
2日目Les Houches – Les Contamines16km650m630m6h
3日目Les Contamines – Ref Bonhomme15km1,400m100m6h
4Ref Bonhomme – Ref Elisabetta18km1,000m1,200m8h
5日目Ref Elisabetta – Ref Bertone20km1,200m1,600m8h
6日目Ref Bertone – La Fouly30km1,050m2,000m10h
7日La Fourly – Col de la Forclaz31km1,150m1,200m10h
8日目Col de le Forclaz – Ref Flegere27km1,600m1,250m10h
9日目Ref Flegere – Le Brevent10km770m0m4h
合計177km8,820m9,530m66h

序盤~フランスからイタリアへ

序盤は名峰モンブランのフランス側(南側)を進みます。ルートは、アルプスならではのシャレ―と呼ばれる木造小屋が連なった素敵な田舎町を繋ぐように作られており、アップ・ダウンも比較的緩く、ハイキング気分で楽しめます。

序盤最大の難関は、ボンナム峠(Col de la Croix du Bonhomme)。雄大な景色を満喫しつつ本格的な峠越えに突入です。この峠付近では夏でも残雪が見られたりします。この峠を越えると3日目の宿泊先、ボンナム小屋に到着です。

中盤~イタリアからスイスへ

中盤は峠付近のボンナム小屋から一気に下り、再び登った先のイタリア側(モンブランの東側)を進みます。目指すはエリザベッタ小屋(Refugio Elisabetta)、背後に壮大な氷河を抱える人気の山小屋です。

そこから先へ進むと久方ぶりの町、クールマイヨール(Courmayeur)へ到着。ここで補給を行い、その後は急登、山腹の宿で一泊します。6日目は中盤のハイライト、グランドジョラスを望む天空の稜線歩き。絶景を楽しんだ後はスイス側へ下り、ラ・フォーリ(La Fouly)の町に到着です。

終盤~スイスから再びフランスへ

ラ・フォーリを出発、林道を進んでいくと美しい湖畔の町シャンペ(champex)に到着。ここから今度は山道を進んでいくと、雄大な氷河の絶景が楽しめます。この景色を満喫した後、フォルカス峠(Col de la Forclaz)の宿で一泊します。

終盤の目玉は、スイス・フランスとの国境があるバルム峠からの景色。ここからシャモニ谷を一望すると、「帰ってきた」との達成感を満喫できます。美しい湖面で有名な絶景のラック・ブラン(Lac Blanc)へ少し寄り道した後、いよいよスタート・ゴール地点に戻ります。

宿泊先情報

宿泊施設~山小屋が中心

宿泊先は山小屋が中心となります。夏場はどの山小屋も大変賑わっており、予約は必須です。部屋はドミトリーが基本、一部個室もありますが、予約でほぼ埋まっています。町に降りた日には、行程次第でホテルも利用できます。

シャワーはどの山小屋も整備されていますが、時間制限があるところが多く、シャワー用のコインを受付で購入するケースもあります。また人気の山小屋では、電源の取り合いになることも多いですが、最近は電源の数も増えてきているように思います。

食事~栄養価の高いもの

食事は、山小屋で朝・夜を食べ、昼はサンドイッチ(ピクニック)を作ってもらう、または途中の山小屋で食べられます。麓に降りたときに朝食・昼食用のパンやハム、チーズを買うのもありです。山小屋では、ビールやワインなどの酒類も楽します。

飲料水はルートのあちらこちらで自由に汲める箇所が多数あるので、不足したらそこで補充します。最初は不安でしたが、飲んでみると結構おいしいです。

アルプスの動植物

動物編

ヨーロッパ・アルプスでは多くの動物に出会えます。中でも印象的なのはアルペン・マーモットです。「ピー」と遠くまで響き渡る声が特徴で、結構な頻度で見かけます。またアイベック同士が格闘している姿も勇壮でした。

植物編

アルプスには色とりどりの美しい花が咲いています。お気に入りはアルペンローズ。小さい可愛らしい花もあったりと、疲れた時でも癒されます。

予告編

今回はトレイルの概要についてご紹介してきました。このトレイルの魅力が少しでもお伝えできれば幸いです。

次回は、一日目を書きたいと思います。

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