ドイツ・ヴィースバーデン~ボン間を繋ぐ全長約320kmのロングトレイル、ラインシュタイク 。トレイル13日目は、古代ローマ帝国の国境防衛線(リムス)の始点・ラインブロールの町から、カラフルな古い建物が残るリンツの町までの約21km、コースタイム6時間です。
ラインブロール出発 ~ バードヘニンゲンへ
出発地:ラインブロールの町
今回の出発地点はラインブロール(Rheinbrohl)鉄道駅。この町は世界遺産・古代ローマ帝国の国境防衛線(リムス)の始点であり、市中には復元されたローマ時代の監視塔もあります。それでは早速出発です。
まずは前回通った歴史的建造物の市庁舎やゲルトルード礼拝堂の横を通って、ローマ時代の雰囲気を描いた壁画やローマ人の銅像がある町の広場へ出ます。次にネオゴシック建築様式が美しい聖スーツベルトゥス教会を過ぎて山道を進んでいくと、ラインシュタイク本線に合流します。
ラインブロール郊外
本線合流後、緩やかな登り坂の林道を進んでいくと見晴らしの良い高台に出ます。一帯には草地が拡がり、馬の放牧が行われています。視線を遠くに向けると、谷向こうの山肌には見頃を迎えた白い山桜が咲き誇っていました。季節感のある美しい風景ですね。
高台から前方へ一度下り再度登ると、眼下には一面のブドウ畑が拡がります。前回購入した先のブドウ畑が無いか気になってしまい、ついつい畑の看板をチェックしてしまいます。本来ここで注目すべきは、ライン川対岸の高台に築かれた中世の古城・ライネック城(Burg Rheineck)でした。先へ進んでいくと、前方には山桜の合間からアーレンフェルス城が姿を覗かせています。
ローマワールド冒険博物館
谷間のアリエンヘラー地区まで下ると、お馴染みのリメス街道と合流です。ここにはローマワールド冒険博物館(Römerwelt)があります。歴史的な資料や発掘物などに加えて、古代ローマ時代の生活体験も出来るようです。今回は立ち寄る余裕がないので先へ進みます。
バードヘニンゲン
しばらく進むとバードヘニンゲン(Bad Hönningen)の町です。この町の歴史も古く、古代ローマ帝国やフランク王国時代の遺跡が発掘されています。また町名「バード(Bad:浴場の意味)」の通り、1894年に最初の炭酸泉掘削、翌年には最初の浴場が建設されました。かつてはミネラルウォーターも生産されていたようですが、ルート上には温泉施設も水汲み場もなく少し残念。
住宅地を進んでいくと大きなカエル(?)が出現。続いてクロジョウビタキ。この辺りには野生のオオカミもいるようですが、幸か不幸か遭遇することもなく、町から一登りして高台に出ました。この斜面一面にもブドウ畑、その先にはバードヘニンゲンの町が拡がります。
アーレンフェルス城
ブドウ畑を見ながら先へ進んでいくと、アーレンフェルス城(Schloss Arenfels)が見えてきます。1258年に建設された城をベースに、ケルン大聖堂を完成させた建築家の下で1849年からネオゴシック建築様式への大改築が行われ、現在の姿になりました。
この城には365窓、52ドア、12塔があり、「Castle of the Year」の愛称で親しまれています(窓、ドア、塔数が日、週、月に該当)。現在はレストランとして営業、城内ガイドツアーも週2回開催されています(HP)。ルートは城の裏手から中庭へと続き、そのまま城を抜けていきます。
ロイブスドルフの町へ
展望台でランチ休憩
アーレンフェルス城から延びる城壁に沿って緩やかに登り、その後採石場の外側を回り込むようにして進んでいくと、ライン川を見下ろす展望台に到着。バードヘニンゲンの町も一望出来ます。景色が良いのでここのベンチでランチ休憩にします。
マロニエ小径
ランチを終えて午後の部スタートです。ここから先は人気の散歩道で、ライン川の絶景を眺めつつ、マロニエの木々が立ち並ぶ気持ちの良い林の中を進みます。今回は若葉が丁度芽吹き始めた頃ですが、紅葉の季節も訪れてみたいですね。
アリエンドルフ
マロニエ小径から谷間へ下るとアリエンドルフ(Ariendorf)の町です。町の中心は1712年建立の礼拝堂(Alte Kapelle)で、その隣には1845年に建設されたアリエンドルフ城(Burg Ariendorf)があります。17-18世紀頃に建設された木骨造の民家も幾つか残っています。
礼拝堂と城の間には小川が流れており、これが次に向かうロイブスドルフとバートヘニンゲンの境界線でした。これはトリーア教区とケルン教区の境界線でもあり、教会税の納付先を巡って政治的に重要な場所でした。ルートはその後山道となります。満開の木蓮とレンギョウが綺麗でした。
高台のコース
町から一登りすると、ルートはライン川に沿って高台の上を進みます。見晴らしの良い場所からは、アリエンドルフの町とライン川が一望出来ます。展望台もあるので小休止には良い場所です。丁度先客がいたので、先へ進みます。
ルートはその後少し内陸側へ入ります。山際には満開の山桜が咲き乱れていました。青空の下、美しい自然の景色を楽しみながら進んでいくと、今度は放牧された馬を発見。のどかな場所ですね。そしてこの先がロイブスドルフの町です。
ロイブスドルフ
ルートはロイブスドルフの町中を通らず、町の外側を回り込むようにして進みます。見晴らしの良い分岐点には休憩スペースがあるので、ここで小休止です。ロイブスドルフには鉄道駅があるので、ここで終えることも出来ますが、今回はもう一駅先に進みます。
高台を進んでいくと、ロイブスドルフの町が眼下に拡がります。この町には、岩山の上に建つ「ライン川の白い教会」として有名な聖ヴァルブルギス教会があります。ルートはそのすぐ頭上を通って、ライン川近くへと向かいます。
リンツの町へ
ダッテンベルグ
白い花で覆いつくされた満開の並木道を進んでいくと、1840年建設のカントリーハウス、ダッテンベルグ城が見えてきます。元々は13世紀前半に建設された要塞で、後にこの建物が建設されたようです。ルートのすぐ脇には羊が飼育されていました。桜と羊、面白い組み合わせです。
町の中心には、聖守護天使教会(Catholic Church Holy Guardian Angels)があります。今日の無事を祈りつつ、この横を通ってゴールの町・リンツ(Linz)を目指して最後の一登りに向かいます。
リンツ玄武岩
ダッテンベルグの町外れまでくると、採石場の歴史について説明している案内版を発見。その横にはトロッコ運搬のモニュメント。どうやらこの辺り一帯は、玄武岩の産地として有名なようです。ふと石垣を見えると柱状の玄武岩がびっしり。
ここから一登りすると、見晴らしの良い高台に到着。裏手には総合運動場、その前には案内板。運動場に関するものと思いきや、再び玄武岩の説明。14世紀には要塞や市中の建物、19世紀以降は水道、道路、鉄道建設等に利用され、今でも現役の採石場が2つあるようです。
ゴール地点:リンツ
運動場の脇を下るとリンツの町です。聖マーチン教会(St. Martin)の横を通って町へと下ります。リンツの町にはカラフルで芸術的なタウンハウスが沢山残っており、「ライン川のカラフルな町」と呼ばれています。広場や商店街を歩くと、その所以が感じられます。
雰囲気の良い商店街を緩やかに下っていくと、本日のゴール・リンツ鉄道駅に到着です。今回はここまで。
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