【ロンドン/ブロード街】ジョン・スノウのポンプ(公衆衛生と感染症)

イギリス
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19世紀ロンドンではコレラの大流行が発生。この危機的状況において、公衆衛生学(疫学)的見地から実証的に調査を実施、見事原因を特定し感染拡大を終息させた立役者がジョン・スノウ。彼の理論の象徴となったのがブロード街にあるポンプ。レプリカは、実際の跡地にハンドルを外して設置されていますが、実物は今でもロンドン大学で大切に保存してありました。

ジョン・スノウのコレラに関する功績とパブ

ロンドンのソーホー地区、チャイナタウンとおしゃれなショッピング街のリージェント・ストリートを繋ぐ道の1つにブロードウィック・ストリートという道があります。かつては、ブロード・ストリートと呼ばれたこの場所にある、「ジョン・スノウ」という人物の名前を冠したパブは、現在においても公衆衛生学や疫学、そして麻酔学の「聖地」となっています。

このパブには、彼の業績に関する多数の説明パネルがあります。そのひとつが、コレラに関する功績です。1854年8月末、ロンドンのソーホー地区において、コレラが急速に拡散、僅か2週間で550人以上の人々が亡くなりました。当時はコレラ菌がコレラの病原菌と特定されておらず(特定は30年後の1884年)、「悪い空気(瘴気)」によって感染すると考えられていました。

そうした中で、ジョン・スノウはコレラ患者の発生場所を詳細に調査し分布地図を作成。ここから原因は瘴気ではなく、発症者が共通の井戸を使用していることを突き止め、この井戸の使用停止を訴えました。これは感染原因が特定されていなくても、社会的状況や実証的な調査によって対応策を立案・推進出来ることを示しており、現在の公衆衛生学や疫学の手法の原点となっています。

さて、パブの前には、彼の理論の原点となった井戸水を汲み上げるポンプのレプリカが設置してあります。一時期、工事で撤去されていましたが、2018年に再設置されました。水を汲めないようにハンドルが外されたポンプ、今でも現地でみることができます。彼の功績を讃えたブループラークもここにあります。

 

ポンプの実物

ポンプのレプリカは跡地でみることができますが、実物はJohn Snow Societyという団体が保有。2013年以降、ロンドン大学の公衆衛生と熱帯医学の研究機関 London School of Hygiene & Tropical Medicine (LSHTM、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院)に貸与され、大学構内に大切に保管してあります(大学構内のため、一般の立ち入りは出来ません)。

実物は意外と小さく、特に装飾もない平凡なものでした(当たり前ですが)。あちこちに損傷も見られ、実際の生活で使用されていたことがよくわかります。ジョン・スノウが原因を突き止め、実際に触っていたであろうポンプを間近でみることができ、感慨深くなりました。またこのポンプの説明パネルには、公衆衛生の発展を祈念する一文が添えられており、研究者の端くれとして、思わずここで学ぶ学生・研究者の方々の功績と今後の発展を願わずにはいられませんでした。

参考本

ロンドンのコレラ感染と、ジョン・スノウの功績については、この本に詳しく書かれています。ジョン・スノウの人物というより、コレラ感染とその対応の事例について詳細に書かれている本です。

実は本当におすすめしたいのはこちらの本。2015年読書感想文コンクール課題図書にも指定され、内容は充実していながら、児童向けなのでとても読みやすいです。また、地名もそのまま使われており、ロンドンに住んだことのある方には、親しみやすく、また当時の町の感覚も掴みやすくなっています。

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