スイス・イタリアの国境を越えて名峰モンテローザの周囲を一周する約180kmのロングトレイル、ツール・ド・モンテローザ(TMR)。氷河歩きや高所歩道などスリル満点のトレイルを体験できるこのコースは、ヨーロッパアルプスのトレイルの中でも屈指の人気コース。今回は最終日の9日目、マクニャーガからザースフェーまでの25km、上り1,700m下り1,300m、9時間の行程です。
最後の難所・モロ峠越え
TMR最終日のルートは、宿泊地マクニャーガ(Macugnaga、標高1,317m)から最後の難所・モロ峠(Monte Moro Pass、標高2,853m)まで約1,500mを急登、峠の国境を越えてイタリアからスイスに戻ります。その後はマットマーク湖(Stausee Mattmark、標高2,200m)まで下った後、今度はザース谷に沿ってゴールのザースフェーを目指します。
ケーブルカー中間駅アルプビルまでの登り
TMR最終日の今朝も早朝出発。天候に恵まれず、小雨模様の中、石畳の道を進んでいくと林間コースに入ります。ジグザグ道を折り返しながらどんどん登ると、少し見晴らしの良い場所に出ます。眼下にはマクニャーガの村が見えますが、霧が濃いため景色は今一つ。
更に進んでいくと、いきなり目の前から雷鳥が飛び立ちました。それも何度も、何匹も。どうもこの辺りは雷鳥の住処があるようです。嬉しい出会いに感謝しつつ更に進むと、アルプビル中間駅(Alpe Bill)に到着です。
ケーブルカー終着駅モロ峠の山小屋へ
中間駅を過ぎて更に登っていくと、周囲の景色から徐々に高木が無くなり森林限界を迎えます。周囲にはブルーベリーの木々が群生していたので、天然のフルーツでリフレッシュ。更に進んでいくと、今度は植物もなくなり、岩場主体の荒涼とした世界に入ります。
天候は更に荒れ模様。雨具に身を包み、霧で覆われたルートを進みます。高所と雨で気温もかなり下がってきました。ルートの標識は分かり易く設置されているので、道に迷うことはありません。上空には山頂駅へ向かうゴンドラも見えます。雪渓を越えて進んでいくと、頂上を示す塔のようなものがうっすらと見えてきました。そしてケーブルカー終着駅に到着。
登りにもかかわらず、体はかなり冷えています。早速併設のカフェへ向かいます。暖房の中、コーヒーと軽食で休憩。生き返ります。他にお客さんもおらず、広々とした部屋でゆっくりさせて頂きました。休憩をとる間に天候も回復。峠へ向かいます。
モロ峠のマリア像
峠まであとわずか。この峠には金のマリア像が設置されています。霧のためこれまで良く見えなかったですが、一転して輝くマリア様が出現。最後の登りです。岩場に梯子が設置され歩き易く整備されていますが、それでも怖い。慎重に登ります。
何とか無事マリア像の下に到着。この一瞬だけ、奇跡的に周囲の霧が晴れました。マリア様が最後まで頑張ったご褒美をくれました。改めてお祈りをして最後の下りに向かいます。
マッドマーク湖への下り道
モロ峠から岩場の急坂を下る
マリア像を後にして、岩場の急な下り道をどんどん下ります。途中には雪渓もあり、スキー気分で滑り降ります。目指すマットマーク湖は眼下にあり、氷河水特有の美しい青色が印象的。何度も写真撮影したため、ペースが上がりません。また岩場のコースは足への負担が大きく、疲労も溜まります。
草原を下りマットマーク湖へ
湖がだいぶ近くに見えるところまで降りてきました。見晴らしも良いので、このあたりでランチ休憩。時折パラパラと小雨が降りましたがすぐに止み、絶景の中でTMR最後のランチ。名残惜しさも出始めましたが、まだゴールまでは結構距離があります。
ランチ休憩を終えて、再出発。ここからも氷河を間近で楽しめます。下り坂も緩やかなので、鳥と戯れながら、のんびりと湖畔まで下ります。
マットマーク湖畔のハイキング
湖畔のハイキングコースへと降りてきました。湖の色が本当に綺麗です。ルートの先には石造りの大きな堰があります。そう、ここは大きなダムです。湖畔のコースには、トンネルが掘られており、落石防止用の赤い止め金が至る所にあります。そして、ようやくダムの端に到着。
TMRゴール地点、ザースフェーへ
ザース谷を下ってザースアルマゲルへ
ダムを過ぎると道路近くの林間コースを進みます。ここから雄大な氷河が見えるほか、ザース谷も見渡せます。コースは比較的平坦なので、距離はどんどん進みます。そしてザースアルマゲルの村へ到着。
ザースフェーへ
いよいよTMRゴールがあと少し。ザースフェーは山の中腹にあるため、最後は谷からの登り。これをクリア、無事ザースフェーに到着です。出発地点近くの案内所ではザースフェーのスタンプを押してもらいました。
なお、今夜の宿ではこのヴァリス地方の郷土料理ラクレットの食べ放題を提供していたので、最高のご褒美になりました。食べすぎました。。
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