【TJR10日目最終日】ツール・ド・ユングフラウ~ロングトレイル

ツール・ド・ユングフラウ

ヨーロッパアルプスの名峰ユングフラウ、メンヒ、アイガーを擁するスイス・ユングフラウ地方を10日前後で一周する約120kmのロングトレイル、ツール・ド・ユングフラウ(Tour of Jungfrau Region)。TJR10日目の最終日はミューレンから出発地ヴィルダーズヴィルへと戻る27km(上り1,014m、下り1,984m)、9時間の行程です。TJR完結編。

TJR本線合流、アルメントフーベル展望台ヘ

TRJもついに最終日、ですが、本日の行程はこれまでで最長、かつアップダウンもかなりあるので油断は出来ません。山岳リゾート・ミューレン(標高1,638m)の町がまだ寝静まる中、早速出発。花の谷ブルーメン・タールまで登り返してJR本線に合流、空も大分明るくなってきました。

ここからノースフェイス・トレイル(Nothface Trail)を再開します。ブライトホルンに朝日が当たり、頂上付近がオレンジ色に輝いています。3日前にあの直下を歩いていたのが遠い昔に思えます。しばらく進むと、アルメントフーベル展望台(Allmendhubel、標高1,899m)に到着。

ここにはミューレンからケーブルカーが出ており、冬場にはスキーが楽しめるようです。草花に関する巨大な本(案内板)もありました!オーバーラント三山(ユングフラウ、メンヒ、アイガー)の絶景が素晴らしい。

マウンテンビュー・トレイル

プレッチェン・アルプへ

展望台から少し先へ進んだところで、ふと草原の中に目を向けると、鹿の親子を発見。慌てて写真撮影の準備。朝の挨拶を交わして、先へ進むと分岐点に到着。朝の澄み切った青空が幻想的な世界を作り出しています。

標識にはマウンテンビュー・トレイル(Mountain View Trail)との記載。そう、これはアルメントフーベルとグリュッチ・アルプを繋ぐ人気のハイキング・コースで、アイガーをはじめとする絶景ポイントが随所にあり、壮大なユングフラウ山脈を満喫出来ます。

ルートはここから草原の中へと続き、プレッチェン・アルプ(Pletschenalp、標高1,740m)と呼ばれる放牧地に入ります。

グリュッチ・アルプへの分岐点

豊かな牧草地に恵まれたこの周り一帯は古くから放牧が盛んなようで、多くの牛達が草を食んでいます。中にはルートに立ち塞がる牛も。そんな折、ちょうど牛飼いのおじさんが登場。牛の扱い方を指南頂いたので早速実践。鋭い角に怯えつつも、何とか牛とのすれ違いに成功です。

ここでアイガーの奥から太陽が上り、草原はあっという間に美しい緑の世界へ様変わり。ユングフラウ山脈も輝いています。しばらく進むと、マウンテンビュー・トレイルの終点グリュッチ・アルプ(Grutschalp)へと続く分岐点に到着。同トレイルに別れを告げ、ここから谷越えが続きます。

ゾウス谷・ズルス谷越え

ゾウス谷

分岐点から下ってきた先がゾウス谷(Soustal)です。この谷でも古くから牛の放牧が行われており、牧歌的な風景が拡がっています。牧場ゾウスレーガー(Sousläger、標高1,682m)へと続く分岐点を越え、谷の中央を流れるゾウス川を渡ります。

次のズルス谷(Sulstal)を目指してここから一登りです。この登りが結構な急坂。ジグザグ道で高度を上げていくと、見晴らしも良くなりました。ブルーネン谷の方向を見ると、前方の高台にはヴェンゲン(Wengen)の町、その後方にはアイガー、メンヒ、ユングフラウが綺麗に見えます。

また前方には懐かしい光景が見えてきました。トレイル初日に宿泊したシニゲ・プラッテです。序盤に踏破したルートも一望できます。感慨深くなりますが、まだ先は長いのでズルス谷へと向かいます。

ズルス谷

一登りを終えてズルス谷へ入り、中央を流れるズルス川を渡って川沿いを登っていくとズルス小屋(Suls、標高1,910m)に到着。ここは酪農家の住居兼牛舎のようで、チーズなどが入った無人販売の冷蔵庫があり、放牧時の牛がつける立派なカウベルも飾られています。

牛舎の中を覗いてみると、既に放牧に出かけたのか牛の姿はなく、掃除も終わっていました。歴史を感じる建物ですが、きちんと手入れがされています。標識にはここから約10分のところにズルス湖(Sulssee)があるので、休憩せずに先へ進みます。

ズルス湖

小屋から少し登ると、すぐにズルス湖(Sulssee)に到着。緑色に透き通る湖を見ながら、ランチ休憩を取ります。なお、湖の手前で左に進むとロブホルン小屋(Lobhorn hutte)があります。ガイドブックでは本日の宿泊地として推奨していますが、今日はゴール目指して一気に進みます。

湖畔でのんびりとコーヒーを沸かしながら、優雅な一時を楽しみます。対岸の斜面には放牧された牛が見えます。先程見た牛舎から来ているのでしょう。小一時間ほど休んだ後、午後の部を開始します。

湖を後にして尾根筋に向かって登っていくと、オーバーラント三山の頂が見えてきました。登るにつれてその姿がどんどん現われてきます。残念ながら、最後は雲に隠れてしまいましたが、10日間に亘って色んな表情を見せてくれました。

ザイラー谷・ザクセット谷越え

ザイラー谷のトラバース

登り終えると、今度はザイラー谷(Sylertal)です。先程までの穏やかな光景から一変し、険しい斜面が見えてきました。ルートはこの斜面をトラバースして進みます。遠くから眺めると、確かにルートのような線が斜面中腹に見て取れます。

「凍結・残雪時には危険」との注意書きがありましたが、この時期は問題なく通過出来そうです。落石・崩落リスクがありそうなので、足元に気を付けつつ、一気に進みます。歩いてみると意外に足元はしっかりしています。渡り終えて谷底を覗くと、その先にはオーバーラント三山が小さく見えました。

ザクセット谷~ウンターベーレンとヒンターベーレン

難所を越えた先に峠(Ballefurgge、標高1,998m)があり、その後は下りが続きます。周囲には草原が拡がり、その奥にはザクセット谷が切れ落ちています。この谷がTJRスタート地点ヴィルダースヴィルへと続く最後の谷です。これまで越えてきた谷よりも深いため、大周りしてゴールに向かいます。

草原を下っていくと、赤屋根の小屋があるウンターベーレン(Unter Bällen)に到着。飼育されている豚さんはお昼寝中のご様子。アルプチーズも販売しています。広い草原の中で思い思いに草を食む牛達を間近に見ながら、次はヒンターベーレン(Hinter Bällen)へと下ります。

ザクセット谷~ウンターベルグで折り返し

続いてザクセット谷の最奥部ウンターベルグ(Unterberg、標高1,460m)に到着。ここでザクセット川(Saxetbach)を渡り、川下に向かって方向転換します。ルート上にある牧場では、アルプスの冷たい水でミルクやジュースを冷やしていました。大きな滝を見ながら川沿いをどんどん下ります。

ザクセテン

ザクセテン(Saxeten、標高1,130m)の町に入る手前で、水車の力を利用した木材加工所を発見。今でも現役のようで、手製の説明版もありました。木造家屋が立ち並ぶザクセテンの町中を抜けて、ハイカー達が軒下でくつろぐホテルの横を過ぎると、ついに最後の下り道に入ります。

ゴール地点:ヴィルダーズヴィル

最初は穏やかな草原でしたが、ルートは次第に森の中へと続き、いよいよ急な下り坂になってきました。疲労もピークとなってきたので、ゴールへの逸る気持ちを抑えつつ、小屋の前のベンチをお借りして小休憩。

ザクセット川にかかる橋を渡ると林間ルートは終了、ここからは一般道路を下ります。しばらく進むと民家が見え始めました。ついに、ヴィルダースヴィルの町に到着。長い最終日でしたが、大きな怪我もなく無事に完全踏破を達成!!

10日間に亘る本トレイルもこれで完結、最後までご覧頂き、有難うございました。また次のロングトレイル記事をお楽しみ下さい。

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