ドイツ・ヴィースバーデン~ボン間を繋ぐ全長約320kmのロングトレイル、ラインシュタイク 。トレイル8日目は、カンプ・ボルンホーフェン(Kamp Bornhofen)からライン川大蛇行の内側を抜けて、マルクスブルグ城の麓町ブラウバッハ(Braubach)までの約18.5kmです。
出発地カンプ・ボルンホーフェン~フィルセン展望台
カンプ・ボルンホーフェンの町
今回の出発地点は、カンプ・ボルンホーフェン鉄道駅。駅前から伸びるラインシュタイクの支線(黄色マーク)を辿って本線(青色マーク)を目指します。この道は、これから向かうフィルセンへと続くネイチャー・トレイルとしても整備されており、行きはトレイルを歩き、帰りは電車で戻るルートのようです。
この町のシンボルはボルンホーフェン修道院。この地域最古の修道院として、中世古城群と共に世界遺産ライン渓谷中流上部に登録されています。スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへと続く巡礼の道(Jakobsweg)において、ドイツ内では有名な巡礼地の一つであり、今でも多数の巡礼者が訪れるようです。
それでは本日のトレイル開始、まず町から一気に高度を上げて丘の上を目指します。見晴らし台へ到着、ここでラインシュタイク本線と合流です。この高台からはカンプ・ボルンホーフェンの町が一望出来ます。
フィルセン展望台
本線合流後、左手にはライン川を挟んで対岸の町、ボッパルトが見えます。右手には一面の麦畑。青空の下、青麦が元気に育っていました。のどかな風景を満喫しつつ先へ進んでいくと、フィルセン展望台(Filsener Ley)に到着です。
展望台からは、ライン川に沿って、対岸の町ボッパルトから出発地カンプ・ボルンホーフェンの町まで一望出来ます。ライン川の「180度大蛇行」で有名な景色は、このボッパルトから見た景色です。これから大蛇行の内側を進んでいきます。
ボッパルトの町 一面の麦畑 フィルセン展望台からの景色 ボッパルト中心部
ライン川大蛇行の内側とサクランボ・ロード
ライン川大蛇行
ラインシュタイクはライン川沿いの有名な見所を繋いだトレイルですが、ライン川大蛇行で有名な景色は対岸からの眺めとなります。ビューポイントへ行くためのリフトは、先端部対岸の高台にあるようです。ここでは珍しい大蛇行内側からの眺めをご紹介します。
対岸は堤防のような高台で囲われており、先端部方向に対して左側の平地にはボッパルトの町、右側の急斜面にはブドウ畑が拡がっています。ライン川左岸は基本的に日当たりが悪く、ブドウ畑はこれまでほとんど見かけませんでしたが、大蛇行のあるこの箇所では日当たり良好な南向きの斜面があるため、古くからブドウ栽培が盛んなようです。
ライン川大蛇行の内側
サクランボ・ロード
大蛇行内側にある半島のような平地は果樹園になっています。フィルセンの町辺りから、ライシュタイクの道標マークと一緒に「サクランボ」のマークが現れました。その名もなんとサクランボ・ロード(Kirschenpfad, Webサイト)。町の紋章にも、サクランボの絵が入っています。
サクランボ・ロードには、この辺り一帯に自生する桜の木82品種のほか、プラム、ピーチ、アプリコットなど54種類の果樹が植えられています。もともとは区画整理の一環として行われたようですが、現在では遺伝子保存・文化遺産保護等の観点から、市民や果物生産者が管理しているようです。
サクランボのマーク(左の木) サクランボの案内 フィルセン町の紋章 サクランボの木 多種類のサクランボ
大蛇行終点の町、オスターシュパイ
サクランボ・ロードを離れて先に進むと、ルートは森の中に入ります。偶然ですが、アカゲラ(キツツキ)が巣から顔を出しているのを発見!急いでカメラを構えるも、巣の中に戻ってしまいました。しばらくの間、再び顔を出す瞬間を待ち構えていましたが、、、断念です。
先へ進んでいくと、木々の合間からオスターシュパイ(Osterspai)の町が見えました。丁度、ライン川大蛇行の終点あたりに位置します。対岸の急斜面にはブドウ畑も見えます。オスターシュパイの町でもかつてワイン造りが盛んでしたが、19世紀末に大規模な害虫被害を被り、現在では大半の農家が果物栽培へ転換しています。ライン川はここから再び蛇行を始めます。
森の中へ アカゲラの巣 オスターシュパイの町と対岸のブドウ畑 次の蛇行地点とシュパイの町
山越え・谷越えを経てマルクスブルグ城へ
ディンクホルダー山
オスターシュパイを過ぎると、ルートは山道へ入ります。ラインシュタイクでは珍しく、高低差のあるコースです。ここから4つの谷を越えて本日の最高点・ディンクホルダー(Dinkholder)山の頂上を目指します。
森の中を進みますが、視界が開ける場所ではライン川が見えるので、地形や町の関係からどの程度進んだかチェック出来ます。この辺りからは、ライン川に延びる見事な砂州の風景を楽しめます。最後の登りを終えると、ディンクホルダー山山頂です。
山頂からは、再び蛇行するライン川や対岸の町シュパイ、そして本日のゴール地点ブラウバッハ(Braubach)の町を一望出来ます。まだゴールでは先ですが、ここからまた谷を越えてマルクスブルグ城(Marksburg)を目指します。
高低差のある山道へ ライン川に出来た砂州 ライン川の蛇行 ブラウバッハの町とマルクスブルグ城
マルクスブルグ城
山頂から一時間程でマルクスブルグ城に到着です。ゴールまであと僅かですが、眺めも良いので、ここで小休止。
12世紀創建のマルクスブルグ城は、ライン川中流域で唯一中世から破壊されていない城です。漆喰で白く塗られた建物は、遠くからでも美しさが際立っています。創建当初はブラウバッハの防衛と税関施設として活躍、現在は博物館になっており城内を見学出来ます。機会があれば見学に訪れてみたい城です。
マルクスブルグ城 城内入口 堅固な城壁 眼下にはブラウバッハの町
ゴール地点、ブラウバッハの町
本日のゴール地点ブラウバッハの町は、マルクスブルグ城を下った先。この町の歴史は古く、紀元前頃には既に定住者がいたようです(紀元前400年~100年頃のラ・テーヌ文化/ヨーロッパの鉄器時代、ケルト人が定住)。中世時代の古い家々も残っており、町中散策も楽しめそうです。
最後は路地裏を縫うようにしてブラウバッハの鉄道駅に到着。今回はここまで。
町への下り坂 古い家が残る町 美しく改装された建物 農民居酒屋(1597)
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