ドイツ・ヴィースバーデン~ボン間を繋ぐ全長約320kmのロングトレイル、ラインシュタイク 。トレイル9日目は、ブラウバッハから渓谷トレッキングを満喫してラインシュタイクの中間都市コブレンツまでの約22.5kmです。

出発地ブラウバッハ~ラーンシュタインの町へ
寄り道:ラーンシュタイン鉄道駅
今回の出発地点はブラウバッハ(Braubach)鉄道駅、の予定でしたが、一つ隣のラーンシュタイン(Lahnstein)鉄道駅からスタート(冒頭の行程・距離はブラウバッハ発)。駅を出てライン川沿いの遊歩道までくると、ゆったりと流れるライン川の景色を間近に楽しめます。
寄り道のお目当ては、対岸にそびえるストルツェンフェルス城。ラインシュタイク本線からは見ることが出来ない、白亜の美しい城です。13世紀創建ですが1689年に取り壊され、その後ネオゴシック様式で再建、現在は博物館として見学出来ます。
それでは本来の出発地、ブラウバッハの町へ向かいます。
 - ライン川沿いの遊歩道 
 - 白亜の美しいストルツェンフェルス城 
ブラウバッハの町
ラーンシュタイン鉄道駅から4キロ程歩くと、ブラウバッハの町へ到着。ここからが本当のスタートです。中世の街並が残る中心部から教会の脇を抜けて、高台まで一登り。見晴らし台までくると、マルクスブルグ城が綺麗に見えます。手前の高い煙突は、鉱業で栄えた町の名残ですね。
 - ブラウバッハの町 
 - マルクスブルグ城 
急登区間
見晴らし台を後にしてブドウ畑の脇を進んでくると、ラインシュタイクでは珍しい急登区間に入ります。登り易いようにロープも張られているので、恐怖感は殆どありません。そして、この区間はすぐに終わります。
 - 急登区間 
 - ロープが整備されている 
フェルドベルグ山山頂付近
急登区間を終えて少し下ると集落に出ます。そこから谷間の細道を進んでいくと次の集落に到着。すると、突然目の前に赤いキタリスが登場。進路を塞いで、何かを食べています。しばらく待つと、食べ終えたのか、再び森の中へ帰っていきました。
緩やかな登り坂を進んでフェルドベルグ山の山頂上付近まで来ると、ラーンシュタインの町を二分するラーン(Lahn)川が見えます。ラーン川の流れる平地部分には町があり、対岸の台地上部には麦畑が拡がっています。このあたりの麦畑は、麦秋を迎えて丁度刈り取りシーズンのようです。次はラーン川まで一気に下ります。が、その前に景色の良いベンチで小休止。
 - 赤いキタリス 
 - 対岸の台地まで一望 
 - 麦の刈り取りシーズン 
 - 景色の良い休憩場所 
ラーン川周辺
ラーン川まで下ってくると、周辺にはキャンプ場や船着場、ロック(閘門)があります。のんびりと散歩を楽しんでいる人も。ラーン川に架かる歩行者用の橋、ラーン橋(Lahnbrücke)を渡って対岸へ。船着場の横を通って先へ進むと車道に出ます。ここを進んでいくと、本日のメインである渓谷トレッキング区間に入ります。
 - ラーン川とキャンプ場 
 - 歩行者用の橋 
 - ラーン橋からの景色 
 - 船着場 
ルパートスクラム渓谷トレッキング
ルパートスクラム渓谷
ルパートスクラム(Ruppertsklamm)渓谷には、1910~12年に自然愛好家のセオドア・ザイス(本職は鉄道通信士)が整備した約1.2kmのトレッキング・コースがあります(コース途中には彼の記念パネル有り)。多種の落葉樹林が自生することから自然保護区にも指定されています。
ラインシュタイクのルートも、このトレッキング・コースを通ります。渓谷の美しい自然を満喫できる上、コース自体がアドベンチャー気分を楽しめることもあって、老若男女問わず結構な人気コースとなっています。それでは渓谷入口ゲートを通ってスタートです。
 - ルパートスクラム渓谷入口 
 - セオドア・ザイスの記念パネル 
渓谷トレッキング
ゲートを通りコースに入ると、ルートは渓谷の谷間を進みます。長い年月をかけて、谷間を流れる小川が川底を削ったのでしょう。両脇は数メートルの高さがあります。整備された遊歩道を緩やかに登っていくと、小川を渡ります。この川沿いを上流方面に登っていくのかと思いきや、途中からコースは…。
 - 入口付近の遊歩道 
 - 小川を渡って先へ進むと… 
沢登り
そう、コースは沢登り区間に入ります。両側は岩壁、コース上にはロープが張られています。このロープに捕まりながら、岩壁側面を上流部へ登っていきます。この日は然程水量が無かったものの、いかにも滑り易そうな場所があるほか、足場は当然濡れているのでハイキング・シューズは必須です。
もっともコース自体の難度は高くないので、幼い子供連れやご年配の方もいます。沢登り区間は不思議なワクワクがあり、自然の中に分け入っているような感覚を覚えます。人気コースであることも頷けます。
 - 沢登りのスタート 
 - ロープに捕まって進む 
 - 右側の岩の上がルート 
 - 上から見たルート 
ゴール地点
沢登りを終えると、コースは川沿いの遊歩道となります。少し進むと大きな小屋が見えてきます。ここがトレッキング・コースのゴール地点。帰りは来た道を戻るコースと渓谷中腹を進むコースがあります。ラインシュタイクのルートは後者です。入口ゲートからここまでは30分程度です。
 - コースは再び遊歩道へ 
 - ゴール地点の小屋 
コブレンツへ
リヒターコプフ~コブレンツ
渓谷トレッキングを楽しんだ後、アップダウンを繰り返しながら高度を上げていき、小高い丘、リヒターコプフ(Lichterkopf)に到着。ここからは、先程渡ったラーン川の両岸に建つラーンエック城とアレルハイリゲンベルク修道院を見渡せます。
コースは森林の中へと続きます。森林浴を楽しみながらリラックス気分で進んでいくと、目の前に大きな鷲を発見。凝視すると何かくわえているような。急いでカメラを取り出しアップにしてみると、やはり捕まえた獲物を持っていました。上空を飛び回る姿はよく見かけますが、獲物を持っている姿は初めて見ました。
牧草地を横切りながら先へ進んでいくと、ビエンホルン谷(Bienhorntal)へと入ります。ライン川方面へ進んでいけば、コブレンツ(Koblenz)の町に到着です。
 - ラーンエック城(左)とアレルハイゲンベルク修道院(右) 
 - コースは森の中へ 
 - 獲物を捕まえた大きな鷲 
 - 牧草地を抜けていく 
コブレンツ
コブレンツの中心部は、ライン川とモーゼル川で囲われた対岸です。ラインシュタイク本線はライン川右岸に延びているので、コブレンツでは右岸のファッフェンドルフ(Pfaffendorf)地区を進みます。この地区の歴史は古く、中央ヨーロッパ青銅器時代(紀元前2,200-800年)の定住跡が発見されているほか、古代ローマ帝国の首都ローマへ続く街道もこの地区を通っていたようです。
ルートはライン川沿いを進みます。対岸には美しいトリ―ア大司教・選帝侯の宮殿(Kurfürstliches Schloss)が見えます。トリ―ア大司教は神聖ローマ帝国の皇帝を決める7選帝侯の1人で、この宮殿は18世紀末に最後のトリ―ア大司教・選帝侯が建設したものです。
そして前方には、エーレンブライトシュタイン要塞(Festung Ehrenbreitstein)が見えてきました。ライン川、モーゼル川が合流する交通の要衝として古くから栄えたコブレンツの防衛拠点です。紀元前10-9世紀頃には軍事拠点化図られ、以降継続的に機能強化が図られてきました。1801年フランス軍により破壊されましたが、1817-28年にかけてライン川中流域における防衛上の要として再建、これが現存しています。
今回はここでラインシュタイク本線を終えます。
 - ビエンホルン方面の標識 
 - ファッフェンドルフ地区 
 - トーリア大司教・選帝侯の宮殿 
 - エーレンブライトシュタイン要塞 
トリーア大司教・選帝侯の宮殿、庭園見学
最後に選帝侯宮殿の庭園を見学。調和のとれた宮殿だけでなく、ライン川に向かって拡がる庭園も綺麗に整備されています。のんびりと休憩を取らせて頂きました。今回はここまで。
 - 宮殿前方の庭園 
 - 庭園はライン川に向かって拡がる 
 - 綺麗に整備された庭園内部 
 - 調和のとれた宮殿 

 
 
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