【VA1-D9】 Swiss Via Alpina 1/スイス横断のロングトレイル9日目

スイス・ヴィアアルピナ1

スイス国内を東から西へと横断する総距離390kmのロングトレイル、スイス・ヴィアアルピナ1(別名:クロッシングスイス、 Crossing Switzerland)。スイス隣国リヒテンシュタインの首都ファドゥーツを出発し、スイス国内の風光明媚な絶景を満喫しつつ、全20ステージ・14の峠を越えて(累積標高差23,600m)、レマン湖畔の町モントルーを目指します。今回は9日目(エングシュトレンアルプ~マイリンゲン)編です(概要編はこちら)。

エングシュトレンアルプ出発

エングシュトレンアルプ

今日の行程は、エングシュトレンアルプ(Engstlenalp、標高1,830m)からなだらかな登りでプランプラッテンへと進み、その後は一気に下って宿泊先のマイリンゲンを目指す総距離20km(登り640m、下り1,870m)、所要時間6時間半のコース。後半の下りが長いので、足への負担が気になる一日。

今朝は6時出発。上空は分厚い雲で覆われ、今日も絶景は期待し難い状態ですが、天候の回復を祈りつつ、トレイル開始。車も通れる砂利道を進んで行くと、ルート脇には農家の小屋が点在、その小屋の中からは牛が顔を覗かせています。ルートはエングシュトレン湖から離れて次の湖へと向かいます。

尚、この辺りは4つの湖を巡る絶景ハイキングコースとして有名。以下は参考記事です。

(ご参考)【スイス】エンゲルベルグの修道院とハイキング概要編

ヤギ飼い体験

30分程進むと、急な峠道に差し掛かります。道幅が狭く、落石注意の看板も。深い霧で覆われている中を進んで行くと、前方に動物を発見。こちらを覗いています。鹿のように見えますが、近づいても逃げる気配はなし。よく見ると、首にベルを付けています。どうやら放牧されているヤギのようです。

すると、今度は左側の急斜面から2匹のヤギが登場。父親と子供のヤギが合流してきました。前方にいたのは母ヤギです。そしてここから、3匹と一緒にルートを進むことに。距離を取ろうにも全く離れようとせず、寄り添ってきます。仕方がないので、彼らと一緒にルートを進むことに。

3匹と一緒に進むこと約20分、タンアルプ(Tannalp、標高1,976m)の集落が見えてきました。すると、これまで全く離れようとしなかった3匹が、自分たちの住処を見つけたのか、いきなり小屋の方へと帰宅。ともあれ、無事に送り届けられて良かったです。

タンアルプ

この辺りではチーズ作りが盛んで、早朝に搾乳したミルクを載せた車と頻繁にすれ違います。ルート脇にある農家の家では、どうやらチーズを製造中の様子。湖が近くなってきたのか、霧は更に濃くなり、視界は全く見通せません。

プランプラッテン

タンネン湖

ルートを進んで行くと、湖が見えてきました。タンネン湖(Tannensee、標高1,983m)に到着。晴れた日には絶景なのでしょうが、この日は全く先が見えず、正に霧の中。それでも岸辺には朝から釣り人が大勢います。ルートは湖畔を進行左手側にしばらく進んだ後、湖を離れて稜線沿いへと向かいます。

バルマーエックホルン

整備された砂利道を緩やかに登っていくと、峠らしき場所へ出ました。姿が見えずにカウベルの音だけ響き渡っていた牛の集団をここで発見。これから向かう稜線沿いのルートは、素晴らしい絶景が望めるとガイドブックに記載されていたので楽しみにしていたのですが、この日は難しいようです。

牛達に別れを告げて、真っ白な世界の中をどんどん進んで行きます。ルートは徐々に切り立つ稜線沿いとなり、両脇の下は霧の中。高度感が全くないので、怖さはありません。片側の壁に貫通した穴を発見。マーモットの住処でしょうか。絶景ルートの雰囲気は存分に感じます。

タンネン湖から離れて2時間程霧の中を進むとバルマーエックホルン(Balmeregghorn、標高2,255m)に到着。上空にはスキーのリフトが通っており、作業小屋らしきものもあります。眼下はまだ全く見えず。

プランプラッテン

引き続き稜線沿いのルートが続くも、景色は変わらず霧の中。先へ進んで行くと、ルート脇に雪渓が現れました。全体像が見えないのでどの程度の規模かは不明。ルートは徐々に起伏のあるコースとなり、それを超えると今度はトラバース・コースへ。ルート自体はよく整備されています。

バルマーエックホルンから1時間ほど進んでくると、プランプラッテン(Planplaten、標高2,200m)に到着。残念ですが、絶景稜線ルートは全く見れず、次の機会にお預けです。ここからプランプラッテン・ゴンドラ駅までは約15分。この辺りからすれ違う人も増えてきました。

稜線沿いルートに咲く花々

眼下の景色は全く見れませんでしたが、ルート脇にはアルプスの美しい花々が咲いています。今回はこれらの花々が撮影対象の主役。

プランプラッテン・ゴンドラ駅

10分程進むと、プランプラッテン・ゴンドラ駅に到着。中に入れそうなので、ここで一休憩とします。外側から見ると、ゴンドラの乗り降りのみの駅と見えますが、中に入ると意外に施設が充実しています。トイレは勿論、博物館のようなものまであり、最上階にはバーも完備。

ここからは一気の下りで、案内板によるとマイリンゲンまでは3時間40分。時間はまだ11時前とお昼には少し早いですが、最上階のバーには誰もおらず、テーブルも完備されているので、ここで盛大にランチとします。景色は望めませんが、雨具も脱いで、ゆっくりとくつろぎます。

ロイティ

ギュンマー・オーバー・スタフェル

一時間半ほどたっぷりとランチ休憩した後、トレイル再開。視界は依然として霧で遮られています。今日は諦めモードで下り始めていくと、徐々に視界が開けてきました。ロングトレイルでは、一つの峠を越えると天気が一変することがありますが、今回もそのようです。

先へ進んで行くと、視界は更に回復。眼下にはマイリンゲンの町が見えます。ということは、明日登っていくルート中腹には、名探偵シャーロックホームズの終焉の地となったライフェンバッハの滝があるはず(後に復活しますが)。カメラの望遠で探していると、発見!

視界が回復したことで、思わず撮影に励んでしまいましたが、先へと進みます。しばらく下ると、集落のような場所が見えてきました。ギュンマー・オーバー・スタフェル(Gummen Oberer Stafel、標高1,831m)に到着。ゴンドラ駅から400m程下ってきました。ロイティまでは約1時間半。撮影だけして先へ進みます。

ロイティ

ルートは車も通れる砂利道が続きます。途中から、ゴンドラで登ってきた人達と思われるハイカーが急増。無人販売が置かれた酪農家の家・牛舎を通り過ぎて、さらに砂利道を下ります。続いて山道に入りますが、足元は整備された砂利道が続きます。緩やかな長い下りを一気に下ると、ロイティ(Reuti、標高1,060m)のゴンドラ駅に到着。

マイリンゲン

ヴィンチェンツォ・バビエラ芸術作品

ロイティからは民家が増えてきました。舗装道路を少し進んだ後、砂利道へ入ります。しばらく下って行くと、芸術作品らしきものが見えてきました。折角なので、少し立ち寄ります。案内板には彫刻の庭と書かれており、スイスの彫刻家ヴィンチェンツォ・バビエラ(Vincenzo Baviera)氏の作品が展示されています(入場無料)。

マイリンゲン

芸術作品を後にして、15分程下るとマイリンゲン(Meiringen、標高625m)の町に到着。城壁跡と思われるゲートから町へと入ります。久しぶりに大きな町へ来た感覚です。スタンプボックスへ立ち寄り、スタンプをゲット。

ベーカリーの前には大きなメレンゲ。そう、マイリンゲンはメレンゲ発祥の町。折角なので一つ購入。言い伝えによると、1600年頃イタリアの菓子職人ガスパリーニがマイリンゲンで砂糖と卵白を溶かしたデザートを最初に作り、村名に因んで名付けました。仏語のメレンゲは、マイリンゲンに由来するようです。

シャーロックホームズ博物館

またこの町にはシャーロックホームズ博物館があります。博物館の前には、小説の名シーンが展示されているほか、ホームズの銅像もあります。明日はライフェンバッハの滝に向かいます。それでは宿へ向かいます。

(ご参考)晴天時のタンネン湖

依然訪れた際の景色を幾つか添付します。晴天時は絶景が拡がります。今回はここまで。

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