【TJR9日目後編】ツール・ド・ユングフラウ~ロングトレイル

ツール・ド・ユングフラウ

ヨーロッパアルプスの名峰ユングフラウ、メンヒ、アイガーを擁するスイス・ユングフラウ地方を10日前後で一周する約120kmのロングトレイル、ツール・ド・ユングフラウ(Tour of Jungfrau Region)。TJR9日目はロートシュトックヒュッテからシルトホルン山頂を経てミューレンへと下る13km(上り987m、下り1,374m)、6.5時間の行程です。後編の見所はシルトホルン東尾根の下りやノースフェイル・トレイルの絶景です。

[TJR9日目前編はシルトホルン登頂まで、後編の今回はシルトホルン山頂からです]

シルトホルン山頂

シルトホルン山頂(標高2,970m)は、先程までの緊迫した世界とは全く異なる人気観光地です。ゴンドラ駅があり、山頂は多くの観光客で賑わっています。展望台へ向かう途中の絶景ポイントには屋根付きのベンチも。そして展望台には何とジェームス・ボンドが!

そう、ここはジェームス・ボンドの映画「女王陛下の007」のロケ地であり、作中に登場する山荘Piz Gloria(現在は360度回転する展望レストラン)があります。施設内では映画の一部が上映されており、映画関連の展示品も充実。土産物店や飲食店もあり、大自然から一気に都会へ戻った不思議な感覚です。

余談ですが、後日この傑作映画を鑑賞してみると、大部分がこの近辺で撮影されていることが分かります。実際に訪れた場所が登場するので、大興奮で楽しめました。さて、展望台施設の見学にだいぶ道草を食ってしまいましたが、ここから本編に戻り、下りルートを開始します。

グラウゼーリ湖への下り

東尾根コース

山頂(標高2,970m)からは東尾根コースを下り、本日の宿泊地ミューレン(Murren)の町を目指します。展望台から外に出ると、辺りは一面霧の中。ルート自体は分かり易いので、足元に気を付けて進みます。しばらく下ると徐々に霧が晴れ、視界が開けてきました。

東尾根コースも鎖場やワイヤーが設置された高度感のある稜線を進みますが、西尾根コースと比べると、ナイフリッジのような両側が激しく切れ落ちた箇所はなく、道幅も比較的広いので安心感があります。眼下に拡がる絶景を楽しみながら気持ちよく下っていきます。

登りの時と異なり、すれ違う人達も増えてきました。東尾根コースの方が登り易く、人気があるようです。稜線沿いを進み峰を一つ越えると、眼下には緑色の美しい湖が見えてきました。グラウゼーリ(Grauseeli)湖です。この辺りからルートは稜線を外れ、ガレ場の斜面を下っていきます。

グラウゼーリ湖へ

ここからはこれから進むルートを一望出来ます。先が見えると、道に迷う心配が無くなるので安心して進めます。ルート上空を見上げると、シルトホルン山頂へと続くゴンドラが通過。多くの観光客が利用する、大人気の路線です。

ガレ場の斜面を下っていくと、行く手には雪渓が登場。登りの時は苦しめられましたが、今回は斜度が緩いので、スキー気分で滑り降ります。ルートはここで砂利道の道路に出ます。この先にある分岐点を右手に折れて、しばらく下っていくと絶景ポイントのグラウゼーリ湖に到着(標高2,514m)。

ここで遅めのランチ休憩とします。

シルトアルプへの下り

グラウゼーリ湖

湖の周辺には、色鮮やかな高山植物が咲いています。花は非常に小さいですが、どれも個性的なのでつい写真撮影に励んでしまいます。そして、雪が残る湖と美しい山々を見ながらのランチは格別です。緊張感のあった西尾根を無事越えたので、リラックスしてゆっくりと休憩します。

シルトアルプへ

ランチ休憩を終え、次の目的地は前方に見えるシルトアルプ(Schiltalp)です。一見なだらかな下りに見えますが、実際は見た目以上に斜度が急で、ジグザグ道を一気に下ります。また、途中にはワイヤーが張られた岩場の危険箇所もあるので、気を抜けません。

一方で、この辺りには一面の花畑が拡がります。黄色やピンクの花々が咲き乱れており、思わず立ち止まり鑑賞タイム。その後、斜度も緩やかになり、のんびりと進んでいきます。ふと、横を見ると、マーモットが。なんとも愛らしい姿です。

そして牛舎のあるシルトアルプへ到着です(標高1,946m)。山頂からは約1,000mを下ってきました。

宿泊地ミューレンへ

ノースフェイル・トレイル

シルトアルプからミューレンまでは、標識によると約1時間20分。但し、ここから人気コース「ノースフェイス(北壁)・トレイル」が始まりますので、ご注意下さい。これはユングフラウ山脈の「北側」を見ながら、ミューレンの町へと下る絶景トレイルなので、写真撮影に時間が掛かります!

ルート自体は比較的平坦で歩き易く、ルート正面・右手にはユングフラウ三山(アイガー、メンヒ、ユングフラウ)をはじめとする名峰群の北壁が次々に登場します。各名峰の絶景ポイントには、日本語表記もある案内板が設置されており、実際の山容を見ながら登攀ルートなどを確認できます。

スイス観光局の案内ページもありましたので、ご参考までに(スイス観光局のノースフェイス案内ページ)。この気持ちの良いトレイルを進んでいくと、今日の宿泊地ミューレンの町が見えてきました。

ミューレンへ

長かった今日のトレイルもあと少し。春先には群生するクロッカスが一面に咲くブルーメン・タール(Blumental、「花の谷」の意)を通り抜けてさらに下っていくと、宿泊地ミューレンに到着(標高1,638m)。

山岳観光地として早くから発展したこの町は保全もよくなされており、可愛らしい小さな家々が建ち並ぶ素敵な町です。日中は麓町からゴンドラで訪れる観光客で賑わうようですが、夕方になると宿泊客のみとなり、落ち着いた雰囲気になっていました。

明日はいよいよ本トレイル最終日、長かった旅もついに完結です。今回はここまで。

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