【TJR9日目前編】ツール・ド・ユングフラウ~ロングトレイル

ツール・ド・ユングフラウ

ヨーロッパアルプスの名峰ユングフラウ、メンヒ、アイガーを擁するスイス・ユングフラウ地方を10日前後で一周する約120kmのロングトレイル、ツール・ド・ユングフラウ(Tour of Jungfrau Region)。TJR9日目はロートシュトックヒュッテからシルトホルン山頂を経てミューレンへと下る13km(上り987m、下り1,374m)、6.5時間の行程です。前編の見所はシルトホルン山頂へと続くスリル満点の西尾根ルートです。

ロートシュトック小屋出発

贅沢な朝食

今朝は快晴。離れの個室に宿泊しているので、日の出前でも気兼ねなく起床し、昨晩習熟した薪ストーブに火をつけて暖を取ります。部屋の窓からは朝焼けで輝くユングフラウとメンヒの絶景。ユングフラウから太陽が昇ってきた頃に、昨晩オーダーしていた朝食が運ばれてきました。

朝食は綺麗に盛り付けられボリュームも満点。目の前で放牧されている牛のミルクで作られた新鮮な牛乳やチーズ、バターは格別です。スイスの山小屋が発祥と言われるミューズリには、色鮮やかな花弁のトッピング。今回のロングトレイル随一の贅沢を十二分に満喫しました。

ヴィア・アルピナとの分岐点へ

朝食をしっかりと取り準備万端、今日は終盤の最難関シルトホルン(Schilthorn)登頂に挑みます。山頂の展望台は遥か上空に見えていますが、そこに辿り着くには一度峠まで上り、そこから稜線沿いを進みます。この稜線がナイフリッジと呼ばれ、両側が鋭く切れ落ちているので、細心の注意が必要です。

それでは早速出発です。ロートシュトック小屋(標高2,039m)のある斜面中腹から、峠を目指して登っていきます。なだらかな斜面の牧草地には、牛舎から出た牛達が思い思いに草を食んでいます。美味しかった朝食のお礼を伝えながら進んでいくと、標識のある分岐点に到着です。

ここでスイスを横断するロングトレイル「ヴィア・アルピナ1」とお別れ。昨晩同じ山小屋に宿泊した多数のハイカーがこのトレイルに沿って西へ進んでいきます。シルトホルン山頂にはここから北を目指して登りが続きます。

ローテヘルト峠へ

岩壁直下への登り

分岐点から少し進むと、巨岩が転がる沢に差し掛かります。大雨などによりルートが頻繁に変わっているようで、あちこちにルートのマークが描かれた岩があります。最新のルートが良く分からないため、最も安全そうな箇所を選んで進みます。

水量は比較的少ないので小川は難なく越えましたが、沢付近一帯が深く抉れているので、ルートへ這い上がるのに一苦労です。これを過ぎると、再び分かり易いルートに戻ります。ジグザグ道で高度を上げていくと、切り立つ岩壁の直下に到着です。

眼下には氷河が削った綺麗なU字谷。出発地の山小屋や先程苦しめられた沢も見えます。湾曲した地層の遥か上空には、これから目指すシルトホルン展望台が姿を見せています。幸い上空も天気が良いので、難所のナイフリッジもこれなら進めそうな状態です。

ロートヘルト峠へ

このあたりから斜度は少しなだらかになり、巨岩交じりのガレ場を越えると、足元は礫主体の歩き易いルートになります。視界も開けているので、気持ちの良い場所です。とはいえ、これから先に難所が控えているので、ペースを抑えて進みます。

遥か先に見えていた雪渓に近づいてきました。斜面にうっすらと見えるルートを辿っていくと、どうも雪渓を越えて行くようです。その先にはロートヘルト峠(Rote Härd、標高2,683m)の標識が見えます。ここまでは比較的簡単に進んできましたが、最後の雪渓には注意が必要です。

案の定、雪渓の上は踏み固められていない状態で、かつ想像以上に斜度がキツイ。軽アイゼンを履くことも考えましたが、足を踏み入れてみるとアイゼン無しでも行けそうです。ストックを使いながら慎重に、ゆっくり進みます。時間はかかりましたが、無事雪渓をクリア。ロートヘルト峠に到着です。

高山の花々

ここで本編を少し一休み。この辺りは一見植物も育たないような場所に見えますが、美しい高山の花々が咲いていました。トレイル初日の高山植物園でみたような花々です。こうした花々の鑑賞もロングトレイルの魅力です。

シルトホルン山頂へ

シルトホルン西尾根への登り

ここから、いよいよ核心部・シルトホルン西尾根に入ります。幸い天気は快晴で、風も気にならず、絶好のコンディション。峠からは、まずなだらかな登りが続きます。ルートは分かり易いものの、足元は先程よりも滑り易いので、一歩一歩慎重に進みます。

最初に見えた上り坂の中腹あたりまで来ました。後ろを振り返ると、そこには圧巻の絶景が拡がっています。これまでの風景とは一変し、氷河地形の荒涼とした大地が印象的です。更に登っていくと、次は尾根沿いにルートが続きます。

足場のしっかりとした場所で反対側の斜面を覗いてみると、そこは谷底まで一気に続く急斜面!転げ落ちたら途中で止まるのは難しそうです。改めてルートを踏み外さないよう、尾根沿いをゆっくり進んでいくと、ついに西尾根の最難関区間に到着です。

難所の梯子・鎖区間、ナイフリッジ越え

ここからは、梯子や鎖などが連続的に設置されている区間になります。整備状態が良く、天候にも恵まれたため、気を付けて進めば問題なさそうです。それでも高度感があるうえ、ルート自体も険しく、また標高3,000メートル弱と空気も薄いこともあり、心身ともに疲れのピークに。

足場の良い場所まで進み暫し休憩、集中力を高めてから次の落ち着ける場所を探す。落下防止用の鎖や杭もしっかりと掴んで安全な態勢を確保し、脚力で登る。これを繰り返しながら、とにかく慎重に進みます。

激しい登りを終えて一休憩。次はいよいよナイフリッジが登場。両側は本当に切れ落ちており、スリル満点。ロープすら掴むことなく、サッと通り抜けます。その先は両側の柵もないので、重心をやや落とし気味にし、一歩一歩、確実に進んでいきます。

シルトホルン山頂へ

難所を無事越えると、ついに山頂が視野に入りました。ゴンドラで登ってきた観光客の姿も見えます。ここまで来ると、ルートもやや穏やかになり、周囲の絶景を堪能するゆとりも出てきました。山頂へと続く反対側の稜線も綺麗に見えます。

後ろを振り返ると、歩いて来たルートの険しさを実感します。じっくりとこの景色を眺めてから、最後の一登り。そして、観光客が気軽に来れるエリアに到着。終盤の最難関・シルトホルン西尾根、無事クリアです!そしてシルトホルン山頂(標高2,970m)に到着。

TJR9日目はご紹介したい見所が多かったので、前後編に分割させて頂きました。前編の今回はシルトホルン登頂のここまで。

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