仏アルプス・ヴァノワーズ国立公園内を周遊するロングトレイル、ツール・ド・ラ・ヴァノワーズ。手付かずの大自然が残り、氷河や美しい山並みを望みながら、約160kmを10日間で踏破。季節外れの積雪に見舞われながらも、高原の牛達が作る特上のチーズや山小屋でのサプライズ・ライブなどトレイル以外の楽しみも満喫。今回は3日目編(概要編はこちら)。
プラン・セック出発
プラン・セック出発
本日の行程は山小屋プラン・セック(標高2,316m)を出発し、登り下りを繰り返しながら山肌をトラバースしつつ山小屋アーポントへと向かう総距離15.3km(登り789m、下り798m)、所要時間5時間30分のコース。
今朝は曇り模様の中、朝食を食べてテントを畳み、7時過ぎにプラン・セックを出発。昨日から足の痛みが出てきたので、今日はペースを落として進みます。宿の前から続く砂利道、そして冬季にはスキー場のゲレンデとなる斜面の坂道を20分程下っていくと分岐点ジョイン(Le Djoin、標高2,240m)に到着。
そこで巨大な岩と解説版を発見。「悪魔の石」と言われるこの岩に纏わる伝説が書かれています(以下概略)。「村人達が集う教会に巨大な岩をぶつけようと運んでいた悪魔。そこに4匹の巨大なウサギが登場、石を掴んでその場に落とし、悪魔はその下敷きに。なので岩の下を決して覗かないように!」ルートは岩の横を通り抜け、斜面をトラバースするように続きます。「迷い岩」とも呼ばれる氷河が運んでもとあった所とは遠く離れてポツンと置かれた異質な巨石は、様々な伝説を生むようです。
オオワシ
道幅の狭いトラバース・ルートを進んで行くと、岩場に危険な箇所が出てきました。前方を歩いていたハイカーの人達も鎖を利用しつつ慎重に渡っています。少し雨で濡れていたこともあり、滑りそうな足下。難所を越えて進んで行くと、今度はジグザグ道の急登。これを超えると比較的平坦なトラバース道になりました。
何気なく、ふと岩場の上を見ると、そこには巨大なワシ、オオワシです。しかも大きな翼を広げています。慌てて撮影タイム。距離がかなりあるので、鮮明な撮影は出来ませんでしたが、その姿は勇壮そのもの。そしてこれまで見てきた鳥と比べて、とにかく大きい。思いがけずの遭遇に感謝しつつ、先へと進みます。
ロザ分岐点
チュラ分岐点
ルートは道幅も拡がり歩き易い道へ。峠らしき地形が見え、先へ進んでいくと標識を発見。9時、チュラ分岐点(La Turra、標高2,363m)に到着。今日のゴールはここから残り4時間半。ゆっくりと先へ進み、視界の開けた場所で暫し休憩とします。出発直後に羊の大群に遭遇。羊飼いが先導していたので、何とかすれ違うことに成功。それにしても凄い数です。
エーデルワイス
平坦な農道を進んで行くと、ルート脇に何やら石で囲われている場所を発見。中を見てみると、白い花、エーデルワイスです。人の手によって植えられたのか、ここで自生していたものにマーキングしたのかは不明ですが、アルプスを象徴する花を見ると嬉しくなります。ロングトレイルをしていても、意外と見る機会が少ない花です。
ロザ分岐点
真っ直ぐ続く平坦なルートを進んで行きます。道脇には綺麗な花が次々に登場。特に小さな黄色の花が岩場一面に咲いていたのは圧巻です。撮影に時間を取られてペースは上がりませんが、11時ロザ分岐点(La Loza、標高2,360m)に到着。アーポントまでは残り3時間半。前方には何やら激しそうなガレ場が見えてきました。
モント分岐点
ランチ休憩
草原の一本道を進んで行くと、先程見えたガレ場に出ました。遠くからは危険そうな難所に見えましたが、実際は意外と大丈夫。歩き易くは無いですが、ガレ場が崩れるような恐怖感はありません。トラバースを続けて進んで行くと、今度は斜面の下り。花畑の中を進みます。視界も開けているのでここでランチ休憩。今朝の宿で作って貰ったランチパックを頂きます。
川越え
13時20分、ランチ休憩を終えてトレイル再開。少し下ると、再び斜面のトラバース。花畑の中を進んで行くと、ルートを遮るように小川が出現。よく見ると、その川向こうに、ルートが続いています。そこに後ろから引率の先生・ガイドを含む学生の集団が登場。まず、空のボトルに水を汲み、勢いよく飲み干してから水を補充、それから川を渡っていきました。これに追随して小川を越え、先へと進みます。
モント分岐点
小川を越えた後もトラバースが続きます。アルペンローズが咲き誇る中を進んで行くと、今度は急流越え。と言っても、川の上を渡るだけ。そこには国立公園のプレートがはめ込まれています。穏やかな小川付近で小休止を取り、さらに進んで行くと、モント分岐点(Le Mont、標高2,090m)に到着。15時50分、ゴールの山小屋までは残り1時間。
山小屋アーポント
アーポント氷河
分岐点を過ぎて5分程進むと、左手上空にはアーポント氷河が見えてきました。最高峰アーポント山(Dome de l’Arpont、標高3,599m)には雲がかかり全貌が見えないのが残念。それでも雄大な氷河が見えると感動します。そして遥か先に今日の山小屋が見えてきました。望遠で確認、間違いなさそうです。
なお、この氷河直下には湖があり、そこには山小屋から続くルートがあります。昨晩夕食を共にしたカップルはその湖まで登り、なんとそこで一泳ぎしてきた、とか。2分が限界だった、と言いながら、その時の楽しそうな動画を見せてくれました。フランス人の真似は出来ません…。
山小屋アーポント
山小屋へ向かうルートの最後は、幾筋にも分かれた滝の芸術。少し進んでは、角度を変えて撮影。これを繰り返すので、山小屋が見えても中々進めません。川に架けられた木板を渡り、少し登るとようやく本日のゴール、山小屋アーポント(Refuge de l’Arpont、標高2,309m )に到着。時刻は17時10分。足の痛みもありましたが、コースタイム5時間30分に対して、実際は7時間15分。かなり遅いペースの1日でした。
テント設営
今日もチェックインを済ませてから、テント設営に取り掛かります。山小屋アーポントは近年大規模改装したこともあって、大人気の山小屋。宿泊棟は満室状態ですが、テント泊は別。建物に比較的近い平らな場所を選んで設営します。静かな場所を好む人は、建物からやや離れた見晴らしの良そうな高台に設営しています。
夕食
夕食は今日も山小屋で頂きます。撮影を忘れていたので、最後の残り分で撮りました。今日も栄養満点のシチュー、それから地場のチーズ、デザートなど。どこでも大皿料理が一般的。最後は皆で片付け。セルフ・システムが行き届いています。そして、明日に向けて今日も早めの就寝。今回はここまで。
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