仏アルプス・ヴァノワーズ国立公園内を周遊するロングトレイル、ツール・ド・ラ・ヴァノワーズ。手付かずの大自然が残り、氷河や美しい山並みを望みながら、約160kmを10日間で踏破。季節外れの積雪に見舞われながらも、高原の牛達が作る特上のチーズや山小屋でのサプライズ・ライブなどトレイル以外の楽しみも満喫。今回は4日目編(概要編はこちら)。
山小屋アーポント出発
霧の中の登り
本日の行程は山小屋アーポント(Refuge de l’Arpont、標高2,309m )を出発し、登り下りを繰り返しながら山肌をトラバースしつつ山小屋アントル・デュー・オーへと向かう総距離11.7km(登り627m、下り826m)、所要時間4時間30分のショートコース。
昨晩は夜半に雷が頻発、朝方まで激しい雨が降り、テント泊には嫌な展開。雨露で濡れたテントを畳み、8時に出発。山小屋付近は深い霧に包まれており、ルートに出ても視界不良。腕時計でルートを確かめつつ、道を外さないよう慎重に登っていきます。一時間程登ると雲の上に出たようで、青空が広がってきました。
絶景ルートとアイベックス
ルートは平坦で歩き易い道となり、視界も一気に開けました。台地の際が切れ落ちており、眼下の谷まで見えます。雪渓を纏った近くの荒々しい岩肌は赤みがかっており、遠くの山塊には氷河も見えます。絶好の撮影ポイントを進んで行くと、アイベックスまで登場。雄々しい角が特徴で、群れで食事をしています。暫くの間、アイベックス観察に浸りました。
沢越え
前方に進んで行くと今度は沢が見えてきました。ガイドブックを読んだ時に、この沢を渡る写真が載っていたので、覚悟はしていたのですが、ついにここで登場。近づいていくと、川幅はあるものの、水深は浅く、登山靴を履いたままでも渡れそうです。先行していたハイカーがそのまま渡っていたので、それに続いて浅そうな場所で渡渉。
ロジエール湖
氷河
無事渡渉を終えて、視界の開けた気持ちの良いルートを進んで行くと、今度は前方には雄大な氷河が見えてきました。最深部は雲で覆われ全貌は見えませんが、それでも迫力満点。そしてふと視線を右手に向けると再びアイベックスの群れ。池のような水場があり、食べる草もあるので過ごし易い環境なのかもしれません。
マーモット
10時を過ぎた頃なので、ここで小休止。斜面のトラバース道ですが、比較的道幅があるのでシートを拡げて休みます。下り坂の先を見つめていると動物の動く姿が。マーモットです。これまでも良く見てきたので新鮮さはあまりないですが、なんと2匹が立ち上がって喧嘩のようなやり取りがスタート。取っ組み合いからジャンプ・アタックへ。マーモットのショータイムを満喫させて頂きました。
モレーン
マーモットの格闘シーンを楽しんだ後、トレイル再開。先へと進んで行くと、明らかに氷河が削ったであろう地形が出現。上部にはまだ氷河が残る分かり易いモレーン地形です。そしてその中を川が勢い良く流れています。この川が川底を抉り、長い年月をかけて新たな谷を形成していくかと思うと、少し感慨深くなります。
ロジエール湖
ガレ場のモレーンを下ってくると、綺麗な湖に出ました。ロジエール湖(Lacs des Lozieres)に到着。丁度お昼の時間なので、ここでランチ休憩。山側は氷河もあって荒々しい光景ですが、湖側は一変して穏やかな光景。ここまで絶景の連続で撮影に大分時間を取られましたが、とても気持ちの良いルートでした。
山小屋アントル・デュー・オー
パラ分岐点
ゆっくり休んで12時半、トレイル再開。緩やかな下り坂を進んで行くと、今度は正面に開けた絶景。急峻な山塊と氷河が削った深い谷。次々出現する景色に圧倒されます。撮影を楽しみながらのんびり進んで行くと、パラ分岐点(Mont de la Para、標高2,329m)に到着。標識によると、ここからゴールの山小屋までは約1時間。
ライル分岐点
パラ分岐点からは、谷底までジグザグ道で一気に下ります。斜面一面に拡がる花畑の中を縫うようにして下った先がライル分岐点(L’ile、標高2,000m)。平地部分で羊の放牧が行われています。さらに進むと川にぶつかり、そこには川の水を堰き止める水門があります。この川を上流方面に登っていきます。
山小屋アントル・デュー・オー
上流方面に向かって砂利道の農道を進みます。橋を渡って一登りすると今日のゴール、山小屋アントル・デュー・オー(Refuge d’Entre Deux Eaux、標高2,120m)に到着。時刻は14時半過ぎ。チェックインを済ませて、テントを設営したかったのですが、ここは国立公園内で保護区のため、夜7時までテント設営は不可。仕方がないので設営場所だけ確保、夕食前に設営しました。今回はここまで。
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