【TV-D7】仏アルプス/ツール・ド・ラ・ヴァノワーズ7日目

ツール・ド・ラ・ヴァノワーズ

仏アルプス・ヴァノワーズ国立公園内を周遊するロングトレイル、ツール・ド・ラ・ヴァノワーズ。手付かずの大自然が残り、氷河や美しい山並みを望みながら、約160kmを10日間で踏破。季節外れの積雪に見舞われながらも、高原の牛達が作る特上のチーズや山小屋でのサプライズ・ライブなどトレイル以外の楽しみも満喫。今回は7日目編(概要編はこちら)。

ネイジェ橋

ボヌヴァル・シュル・アルク出発

本日の行程はボヌヴァル・シュル・アルク(Bonneval-sur-Arc、標高1,810m)を出発、まずフール峠へと一気に登り、一度下ってロシュール峠へと登り返し、最後は山小屋フェマへと下る総距離19.0km(登り1,642m、下り1,110m)、所要時間7時間50分の本トレイル屈指のロングコース。

今朝は夜明け前の4時45分に宿を出発、ヘッドライトを点けてトレイル開始。真っ暗の中、いきなりの急登。ゆっくりと登っていくと、徐々に空が明るくなってきました。羊の番犬に追い立てられたりしながら一時間程登ると、分岐点に到着。まだ涼しい時間帯なので、暑さを気にせず登れました。

川沿いの登り

ここからしばらく川沿いのルートを登っていきます。勢いよく流れる川を見ながら、朝の新鮮な空気を存分に吸い込んでの登り。気持ち良く進んで行きます。上流部には立派な石造りの橋と堅固な建物が見えてきました。背後を振り返ると、朝日に照らされた山が赤く光っています。モルゲンロートです。出発から一時間半程進んできたので、景色の良いこの辺りで小休止。

ネイジェ橋

ここから更に川沿いを登っていきます。ルートは川が抉った谷の中腹にあり、ガレ場から岩場へと徐々に険しさを増していきます。危ない箇所には鎖や鉄格子の橋が架けられており、ルートの整備は行き届いている状態。これを登りきると道路に合流、駐車場の近くにあるネイジェ橋(Pont de la Neige、標高2,530m)に到着。時刻は7時半を回った頃。ここからスタートするウォッチング・ツアーの一行もいます。

動植物

この区間ではアルプス特有の動植物も登場。シャモア親子との遭遇や珍しいエーデルワイスの群生、マーモットの行動観察など。

フール峠

朝食休憩

今日のトレイルはここからが本番。最初の目的地フール峠までは約1時間50分。ルートも本格的に大自然の中へと分け入ります。駐車場付近には草地がありますが、少し進むと氷河が削ったモレーン地帯となり、荒涼としたガレ場を登っていきます。振り返ると氷河削った谷が綺麗に見えます。雪渓も登場、平らな部分があったので、ここで朝食休憩。昨日購入したバケット、パテ・ド・カンパーニュ、チーズ、そしてオレンジジュース。美味しいのですが、雪渓の近くで寒さが堪え、早々にトレイル再開。

モレーンの登り

8時40分、トレイル再開。モレーンが作った左側の溝には雪渓、畝の上がルート。天気に恵まれ、ルートを見失うことなく進んで行きます。これまで幾度となくモレーン地形を踏破してきましたが、植物が殆どなく荒涼とした大地を歩いていると、まるで火星などの異世界に迷い込んだような錯覚を覚えます。

高度が上がるにつれて、この印象はさらに強くなり、不思議な気持ちで登っていきます。雪渓はあちこちに見られ、それが溶けて作り出した池も風景にアクセントを加えています。標識は殆どないものの、ルートを表す石積みの目印、ケルンが頻繁にあるので、迷うことなく進めます。

フール峠

最後の登り区間に差し掛かりました。滑り易い雪渓をトラバースで進みます。一登りして後ろを振り返ると、そこには素晴らしい絶景が拡がっています。この時期にしては雪渓がやけに多い気もしますが、先日季節外れの雪が降ったことが関係しているかもしれません。ガレ場のルートはますます険しくなり、いかにも峠直下の登りという印象。そして9時40分、フール峠(Cod des Fours、標高2,976m)に到着。

ロシュール峠

分岐点

次の目的地ロシュール峠まではここから約3時間。一旦下った後、再び登り返すコース。まずはジグザグ道の急坂を一気に下ります。斜度が緩やかになると、遠方の景色を見る余裕が出てきます。フール峠への登りと違い、こちら側には草地も幾分あって荒涼感は無くなりました。眼下に見えてきた小川、規模感こそ違いますが、ドイツ・ボッパルトのライン川大蛇行を彷彿とさせるような流れです。その先には山小屋(Refuge du Fond des Fours、標高2,537m)が登場。その手前に分岐点があります。

(ご参考)【ドイツ】ボッパルト~ハイキングで楽しむライン川大蛇行

お鉢の中へ

分岐点を過ぎ、少し平らな場所を進むと、そこから急登開始。比較的直ぐ近くに峠が見えます。10分程登ると峠に到着。と思いきや、そこはお鉢状の地形の縁部分。少し進むと、お鉢の中へと下るルートが見えてきました。これを下ると、平らな底地部分にルートが続きます。半ば辺りまで進んだところで、正面に氷河を纏った山塊ポワント・ド・メアン・マルタン(標高3,330m)が見えてきました。丁度11時を回ったので、ここでランチ休憩。昨晩作ったパスタを楽しみます。

お鉢の上へ

12時、トレイル再開。お鉢の中を更に進み、小川を越えます。雄大な山塊を眺めながら、ルートは右側斜面のガレ場へと続き、急斜面をジグザグ道で登ります。中腹辺りまで来ると、お鉢の縁部分に置かれた石積みの目印ケルンが上部に見えてきました。左手の山塊を眺めながら登っていくと、ケルンに到着。ランチ休憩場所からは約50分。ここが峠、かと思いきや、ルートは更に先へと続いています。

ロシュール峠

お鉢の上からは再び荒涼とした大地を進みます。ルートは平坦なコースとなり、進行方向右側は視界が開け、近くには雪渓が溶けて出来た幾つかの池があり、さらに奥には別の山塊が見えます。この辺りは天候が悪いとルートを見失い易く、ガイドブックにも注意喚起がされていましたが、今日は天候が良く先まで見通せるので安心して進めます。

目印となるようなものが乏しく、似たような光景の中を進んで行くと、前方に大きな池が見えてきました。そしてその脇には分岐点の看板。13時40分、ロシュール峠(Col de la Rocheure、標高2,911m)に到着。本日の山小屋までは残り1時間15分、いよいよゴールが近づいてきました。

植物

ロシュール峠までの道のりで咲いていた花々。小さいですが、様々な色の花が楽しめます。

山小屋フェマ

マーモット親子

池の周りにはのんびりと休憩を取っているハイカーもいます。疲労も大分溜まってきたので、ここでゆっくりしたい所ですが、先へと進みます。ルートは斜面をトラバースするように続き、谷を隔てた先には再び雄大な山塊。氷河らしきものも見えます。綺麗な花が咲き誇る中で、マーモット親子を発見。こんなに小さな子供が親の背中に乗っているのは初めて見ました。折角なので、観察を兼ねて小休止。

山小屋フェマへの下り

14時30分、トレイル再開。トラバース・ルートを緩やかに下ります。前方には雄大な山塊、進行方向左側も谷を隔てて荒々しい山容が拡がります。絶景を楽しめる気持ちの良いルートで、マーモットもひっきりなしに登場。もっとも、今日はもう十分観察したので軽く挨拶して先へと進みます。前方の視界が更に開けると、谷の途中に山小屋が登場。15時20分、山小屋フェマ(Refuge de la Femma、標高2,352m)に到着。

山小屋フェマ

まずはチェックイン。この場所も国立公園内で、テントの設営は夕方以降から。設営場所を確保し、夕飯までのんびりと過ごします。設営場所にもマーモットが多数出現。巣穴がいくつも見えます。山小屋2階部分が食堂。何とこの日は、山小屋で少年少女の社会実習が行われていました。夕食のメニュー取りから配膳まで担当。夕食後感謝を伝えてテントに戻り、早々に就寝。長い長い一日でした。今回はここまで。

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