【ワイン】ボルドー前編~産地探訪:シャトー・オー・ブリオン

フランス

赤ワインの世界的な生産地として知られるボルドー。ここには数多くのワイナリーが存在しますが、特に優れた土壌・気候条件等からボルドー・ワインの最上位・第一級に格付けされるのが、5大シャトーと呼ばれる5つのワイナリーです。今回は、その一角であるシャトー・オー・ブリオンを見学してきたので、関連情報と一緒にお届けします。

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ボルドー・ワインとは

ボルドー・ワインの概要

ワイン大国フランスの中でも、4世紀頃からブルゴーニュと並んで特に素晴らしいワインを生み出す銘醸地として知られているボルドー。その優雅な味わいなどから「フランスワインの女王」とも表現されます。ブドウ栽培面積は約11万ヘクタールと世界最大規模、ワイン生産量の8割以上が赤ワインです。若いうちは力強く渋みがあり、長期熟成すると旨味が増して落ち着いた味になります。

ボルドーワインの特徴は、ブルゴーニュなどのように単一品種でワインを作るのではなく、複数品種をブレンドすること(アサンブラージュ)で、複雑で豊かな味わいを作り出している点。ブレンド比率はワイナリー毎に異なります。興味深いことに、ボルドーでは生産地域毎に栽培に適したブドウの品種が異なるうえ、また同じ地域であっても各品種の出来栄えは年によって異なります。こうした中で、各ワイナリーでは毎年上手にブレンド比率を調整し、素晴らしいワインを作り出しています。

気候・土壌

ボルドーは、フランス南西部の北緯45度(北海道とほぼ同じ)に位置し、大西洋からの海風を受ける温暖な海洋性気候が特徴です。ボルドー地域にはボルドー市中心部を流れるガロンヌ川、北部を流れるドルドーニュ川、両河川が合流したジロンド川が流れており、これら流域にワイン産地が拡がっています。

ボルドーの産地は、これら3つの川に区切られた5つの地区に大別されます。

地区 概要・特徴
メドック ジロンド川左岸、砂利質・粘土質の混合土壌、栽培品種はカベルネ・ソーヴィニヨン主体、長期熟成型の赤ワインが多い
グラーヴ ガロンヌ川左岸、砂利質土壌(グラーブとは仏語で砂利の意味)、栽培品種はカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー
右岸 ドルドーニュ川右岸、粘土質・石灰質土壌、栽培品種はメルロー主体
ソーテルヌ&バルザック ガロンヌ川左岸、石灰質・石灰岩土壌、上質貴腐ワインの産地
アントル・ドゥー・メール ガロンヌ川・ドルドーニュ川に挟まれた広大な地区、粘土石灰質土壌、カジュアル・ワインな白ワインが多い

 

ボルドーワインの格付制度

ボルドーワインの格付制度は、1855年パリ万博時にナポレオン三世の指示の下、当時有力産地であったメドックとソーテルヌの二地区で制定されたのが始まりです。ブルゴーニュやシャンパーニュではブドウ畑に対して格付が付与されていますが、ボルドーではシャトー(ワイナリー)毎に格付が付与されています(ボルドーでは一つの畑を一つのシャトーが所有)。

メドック地区は赤ワイン、ソーテルヌ地区は甘口白ワインが格付対象です。この格付制度は商工会議所主導の下、ワイン仲買人が評価する栽培地やワインの品質等をもとに制定されました。両地区の格付は、1973年に一度だけ改定(シャトー・ムートン・ロートシルトがメドック地区の2級から1級へ昇級)されましたが、それ以外は当時から不変です。

メドック地区の格付では、61のシャトーが5つの等級に分類されています。この最上位に位置するのが5大シャトーで、今回はこの一角であるシャトー・オー・ブリオンを見学してきました。

なお、グラーブ地区では1953年に同様の基準で格付制度が設けられました(格付見直しは1959年の一度のみ)。一方、サン・テミリオン地区でも1954年に格付制度が始まりましたが、格付選定は「生産者主導」で行い、格付見直しも10年毎に行うなど、同じ格付制度であっても運営方法は異なります。

ワイナリー見学:シャトー・オー・ブリオン

見学ツアー

事前にHPから見学予約を行い訪問します。受付登録後、最初にシャトー・オー・ブリオンに関するビデオ鑑賞を行った後、実際の醸造過程を巡り、最後にテイスティングで終了となります。建物自体も豪華な作りで、室内装飾・調度品にも目を奪われます。それでは見学時の内容・頂いた資料に沿ってご紹介します。

テロワール

まずはブドウ畑。偉大なボルドーワインを生み出す条件として、大きめの痩せた砂利、急勾配の丘の地形、根が侵入できる深い土壌、排水が完璧な心土、が重要となります。

オー・ブリオンのテロワールは、砂利質土壌のグラーブ地区でも他に類を見ない大きな砂利で出来た2つのなだらかな頂があり、近隣河川よりも12-15m高い位置にあります。この上述条件を満たす恵まれた自然環境の下、オー・ブリオンのブドウは栽培されているようです。

ブドウ品種

オー・ブリオンで赤ワインに利用される品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン(45%)、カベルネ・フラン(15%)、メルロー(40%)です。カベルネ・ソーヴィニヨンは、この地区周辺(メドック、グラーブ)の主要品種です。

カベルネ・ソーヴィニョンのワインは骨格がしっかりとしており、強烈で非常に典型的なブーケ(熟成香)を持ちます。また豊富に含まれるタンニンが、ワインに濃厚さと複雑性を与えます。カベルネ・フランは、タンニンの構成と豊かさではカベルネ・ソーヴィニヨンよりやや劣りますが、繊細さとエレガンスが特色です。メルローは、口に含むとしなやかで、カベルネよりタンニンが少なく、栽培土壌の質がワインの品質に直結します。

醸造室

収穫されたブドウは、ブドウ畑に設けられた選果台で、不注意から摘まれた全ての葉や青いままのブドウ、変質したブドウが取り除かれます。選果後の熟した果実のみが醸造室に運ばれ、ここで果房の木の部分(果梗/かこう)が取り除かれます。残ったブドウの果肉と果皮・種子がタンクに入ります。

タンクの中では、ブドウと共にブドウ畑の自然酵母が入れられ、この酵母が増殖しつつブドウの糖分をアルコールと二酸化炭素に分解、アルコール発酵が進みます。またこの過程では温度上昇を伴い、酵母の働きは一段と活性化します(連鎖反応)。温度が上がりすぎると酵母が死滅するため、この管理が需要となります。

オー・ブリオンでは、1961年に冷却装置を備えたステンレスタンクを逸早く導入、温度調整を自動制御しており、ブドウの品質により予め設定した温度を発酵の経過状況に応じて微妙に調整しながら発酵管理を行っています。

タンクの中でワイン生成が終わると、新ワインの誕生です。各タンクは夫々個性を持ち、異品種は勿論、同品種であっても栽培区画が異なれば違いがでます。この違いを認識したうえで、夫々の長所を生かすよう複数タンクのワインをブレンド(アサンブラージュ)してファーストワインが造られます。オー・ブリオンの有する知識・経験は、このアサンブラージュの過程で存分に発揮されます。

貯蔵

ファーストワインは新樽に20ヶ月間熟成されます。オー・ブリオンでは、18世紀前半より新樽を利用。樽はワインボトル300本分を容易に運搬出来る優れた容器であるうえ、材料のオークはタンニンをワインに放出するほか、ワイン中の不純物除去や香りづけでも貢献します。

熟成期間中には年4回滓引きを行い、樽底に沈んでいる沈殿物と澄んだワインを分けます。こうして出来上がったワインが、いよいよボトル詰めされます。

テイスティング

見学ツアーの最後はテイスティングです。この部屋自体の雰囲気も素晴らしく、優雅な気持ちで楽しめます。一通り製造現場を見学した後だと、テイスティングに供されるワインにも愛着が湧いてきます。ワインの味わいについては専門家に委ねたいと思います。

これで一連の見学ツアーは終了です。なお、ここには販売店はないので、その場で購入することは出来ません。オー・ブリオン、いつかまた楽しみたいワインになりました!

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