【フランス】セザンヌの愛した山~サント・ヴィクトワール山

フランス

フランス人画家ポール・セザンヌの代表作として度々描かれたサント・ヴィクトワール山。彼の故郷で創作活動晩年の拠点とした南フランスの町エクス=アン=プロヴァンス近郊に、サント・ヴィクトワール山はあります。セザンヌの足跡を訪ねる旅、第二弾は彼が愛したこの山に登ってみたいと思います。

サント・ヴィクトワール山とは

サント・ヴィクトワール山(Montagne Sainte-Victoire)は、南フランスの町エクス=アン=プロヴァンス東方に位置する石灰岩の山塊で、最高地点はピックデムシュ(Pic des Mouches、標高1,011m)。フランス人画家ポール・セザンヌは、この故郷の山を題材に油画44点、水彩画43点を描いています。

(ご参考)【フランス】セザンヌのアトリエ訪問

この山塊で有名な場所は、西端の頂上にある1875年建立の記念碑「プロヴァンスの十字架(Croix de Provence、標高946m)」。この山塊を巡るハイキングコースは数多くありますが、今回はこの記念碑を目指して登ります。

サント・ヴィクトワール山登り口~ビモン湖ダム駐車場

ビモン湖ダム駐車場

出発地点はビモン湖ダムの駐車場(Parking Bimont Dam)。ダムへの入口ゲート付近には、ハイキングコースの地図が設置されています。それでは早速出発。まずはダムの上を歩いて谷向こうへと移動。ダムの上からは、ダム湖の奥に特徴的な山容を持つヴィクトワール山が望めます。

トレイル登り口

ダムの上を渡り終えると、左手側にルートの標識があります。ルート番号は13番、プロヴァンスの十字架までは約2時間15分。今回はこのルートで山頂を目指します。

サント・ヴィクトワール山中腹への登り

尾根筋への登り

トレイル入口に入ると、ルートは山道を進みます。まず目をひくのは、赤土の地面に大きな岩。雨に濡れると非常に滑り易そうな岩です。進行方向左手側に先程のビモン湖ダムを望みつつ、前方にはサント・ヴィクトワール山。あの頂を目指して、まずは尾根筋まで登ります。それにしても特徴的な地質です。

ローズマリー

入口から20分程進んだところで、あることに気が付きました。ローズマリーです。この山の至る所にローズマリーが自生しているようで、訪れた冬季には丁度花をつけていました。香りを嗅いでみると、確かにローズマリー。これほど大規模に自生している場所は今回が初めて。

中腹への登り

尾根筋に出ると、ヴィクトワール山手前に最初の峰が見えます。まずはあの峰に向かって登ります。先程まで足元は赤土主体でしたが、今度は白い石灰岩。周辺には背丈の高い木々はなく、ローズマリーのような低木が中心。峰まで登ると、出発地点のダムが良く見えます。山頂も大分近くなりました。登り口からここまでで1時間強です。

サント・ヴィクトワール修道院

修道院への登り

次の目的地はサント・ヴィクトワール修道院。引き続き尾根筋を登っていきます。ここから眺めるサント・ヴィクトワール山の山容は非常に美しい。振り返ると、歩いてきた稜線や出発地のビモン湖が良く見えます。ここから更に登っていくと、山頂にはプロヴァンスの十字架、またその直下にはサント・ヴィクトワール修道院が見えてきました。すれ違う人も多く、人気のルートであることが分かります。

サント・ヴィクトワール修道院

サント・ヴィクトワール修道院(Prieuré Sainte-Victoire、標高900m)に到着。修道院は17世紀に建てられたそうで、入口にある立派な門や礼拝堂、中庭、貯水槽などで構成されています。礼拝堂は見学可能、折角なので旅の安全を祈念。尾根筋に出たところから修道院までは、撮影時間含めて約50分。ここで小休止をとり、山頂へと向かいます。

(ご参考)修道院の歴史を記した案内板もありました。これを見ると、どのように修道院が作られているか、良く理解出来ます。

プロヴァンスの十字架

山頂への登り

修道院を後にして、山頂へのアタック開始。と、改まる必要もなく、既に山頂はすぐそこ。プロヴァンスの十字架も良く見えます。石灰岩の岩場を登ること約10分、無事山頂に到着。プロヴァンスの十字架は、基礎部分(11m)と金属製の十字架本体(7m)で構成され、1871-1875年にかけて建立されました。落雷等により損傷していたものの、2004年に修復された由。

山頂からの景色

プロヴァンスの絶景!を楽しみに登ってきたのですが、ここにきて山頂は雲で覆われてしまい、眼下の景色は良く見えず。展望スペースも霧の中。しばらくの間、山頂で待機していましたが、天候が好転する兆しも無いので、山頂からの絶景は次回にお預け。

下山路

下山路は登ってきた道を引き返します。修道院を過ぎて尾根筋を軽快に下って行きます。振り返ると先程雲で覆われていた山頂部分が心なしか晴れてる様子。今回は天気に恵まれませんでしたが、怪我をせずに無事下山していることで良しとします。山頂から1時間半強で出発地点に到着。

今回はセザンヌの足跡を訪ねる旅、としてサント・ヴィクトワール山に登ってみました。印象的だったのは、足元に見えていた白い石灰岩の地質と中腹辺りから眺める特異な山容です。今度セザンヌの「サント・ヴィクトワール山」を鑑賞する際には、これまでよりも親近感を持って楽しめる気がします。素晴らしい山でした!

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