【TJR8日目】ツール・ド・ユングフラウ~ロングトレイル

ツール・ド・ユングフラウ

ヨーロッパアルプスの名峰ユングフラウ、メンヒ、アイガーを擁するスイス・ユングフラウ地方を10日前後で一周する約120kmのロングトレイル、ツール・ド・ユングフラウ(Tour of Jungfrau Region)。TJR8日目はチンゲルホルン小屋からブゼン尾根、セフィネン谷を経てロートシュトック小屋までの10km(上り1,200m、下り800m)、5時間の行程です。見所はブライトホルンとシルトホルンの絶景です。

オーバーシュタインベルグ小屋への戻り

チンゲルホルン小屋

TJR8日目、今朝も快晴です。今日はいつもよりコース距離・時間が短いので、山小屋でしっかりと朝食を食べてから出発します。朝食はビュッフェスタイルで、色んな種類のハムや地元のチーズが並んでいます。パンも美味しく、朝から食べ過ぎてしまいました。

オーバーシュタインベルグ小屋へ

それでは今日のトレイルを開始します。まずはここから20分程歩いてオーバーシュタインベルグ小屋まで戻り、TJR本線に復帰します。昨日間近に見たブライトホルンなどの山々を正面に見ながらの絶景ルートは、朝から贅沢な気持ちになります。

間もなくしてオーバーシュタインベルグ小屋に到着(標高1,778m)です。ここには農家の方がいて、小屋の裏手では牛が放牧されています。朝のチーズはこの牛達のミルクから作られているのでしょうか。美味しかったです!

ブゼン尾根越え

ブゼン尾根への登り

小屋からは斜面をトラバースしながらジグザグ道を登っていきます。前方にユングフラウ、後方にはブライトホルン。高度が上がってくると、ルートには太陽の強い日差しがあたり始めました。この尾根を越えるとブライトホルンは見れなくなるので、写真撮影にも熱が入ります。

本日の最高地点、ブゼン尾根(Busengrat、標高1,978m)に到着です。ここからはミューレンの町や出発初日の宿泊地シニゲ・プラッテまで綺麗に一望出来ます。尾根を越えると、景色がガラッと変わるのもロングトレイルの魅力です。

ブゼン尾根の分岐点へ

尾根を越えるとセフィネン谷(Sefinental)への下りになります。セフィネン谷を挟んだ先に、シルトホルン山脈が拡がります。頂上部には、映画007のロケ地として使われたシルトホルン展望台があります。明日は左側の尾根から頂上へ登り、右側の尾根を経てミューレンへと下ります。

セフィネン谷への下り道では、尾根付近の見晴らしは良いものの、高度が下がると林の中へ入ります。しばらく下っていくと、ブゼン尾根の分岐点(Untere Busenalp、標高1,772m)に出ます。ここからセフィネン谷まで約45分のようです。

セフィネン谷へ

セフィネン谷への下り

分岐点を過ぎた頃からルートは急な下り坂となり、石も多く滑りやすいので慎重に進みます。ここまであまり人を見かけませんでしたが、この区間では急坂を登ってくる人が結構います。どうやらここは人気コースのようです。急な階段もありますが、安全面に配慮した整備がなされています。

途中、岩の上から水が滴り落ちている箇所があります。滑落防止用の杭も設置されていますが、ここは崖になっているので、一段と気を付けて進みます。時折、林が切れて視界が開けます。ちょうどミューレンの町と同じ高度まで下りてきたようです。セフィネン谷まであと少しです。

セフィネン谷

更に下っていくと川の音が聞こえてきました。谷底についた証です。橋を渡ると標識を発見、セフィネン谷(標高1,259m)に到着です。ブゼン尾根から約700mを一気に下ってきたので、気温も大分暑くなりました。ここからしばらくは川沿いのルートを上流部に向かって進みます。

この区間はヴィア・アルピナという別のロングトレイルとルートが重なります。休憩時に挨拶をしたオランダからの4人組はこのトレイルに挑戦しているそうで、その後抜きつ抜かれつ、冗談を言い合いながら、同じ山小屋を目指します。

この谷奥はカールになっており、中央に位置するのがグシュパルテンホルン(Gspaltenhorn、標高3,436m)です。高度が上がると全容が徐々に見えてきます。日差しが強く一段と暑くなってきたので、小川の近くの木陰で休憩とします。小鳥たちも涼みにきました。

宿泊地ロートシュトック小屋へ

絶景ポイント

小休止の後は、セフィネン谷を離れて、本日の宿泊地ロートシュトック小屋(Rotstockhutte、標高1,778m)への本格的な登りとなります。涼しい木陰がある林を抜けて高度を上げていくと開けた場所に出ます。

ここでルート正面にオーバーラント三山が姿を見せます。これまで見てきた角度とは違うので最初は戸惑いましたが、この角度から見る姿も雄大です!ジグザグ道を登っていくと、今度は反対側にセフィネン谷奥の山々が見えます。こちらも負けず劣らず迫力があります。

ロートシュトック小屋へ

再び林の中を抜けてさらに進むと、ついにロートシュトック小屋が見えました。いつものことですが、見えてからが以外に長い。今日は時間もあるので、ゴール間近ですが木陰でのんびりとコーヒーを沸かして休憩を取ります。

明日登るシルトホルンの山頂も見えます。山頂へのルートは険しいようです。後ろを振り返ると、素晴らしい絶景が拡がっています。歩いて来た道の先にはユングフラウが。2日前にはあの直下にいたと思うと感慨深くなります。

そしてロートシュトック小屋に到着です。石組みで造られた伝統的な山小屋で、赤く塗られた雨戸が青天に映えます。シルトホルンから下ってきたと思われるハイカーも多く、テラスは結構な人で賑わっています。

ロートシュトック小屋での滞在

ロートシュトック小屋の概要

ロートシュトック小屋はシルトホルンの直下にあり、登頂や峠越え(ロングトレイル「ビア・アルピナ」のルート)を目指すハイカーに人気の山小屋です。また、ここでは酪農も行われており、チーズや牛乳など、ここで作られた乳製品が楽します。

宿泊はドミトリー中心ですが、近年建てられた離れの小部屋も利用できます。今回は運よく予約出来ましたが、大変人気が高いようです。なお、この山小屋にはシャワーが無いので、ご注意下さい(水はあるので寒いですが…)。

小部屋での滞在

案内された部屋は新しく清潔感があります。窓からはユングフラウとメンヒの絶景が望め、食事はルームサービス。スタッフはとても親切で、薪ストーブの使い方も教えてくれました。今回のトレイルで最も優雅な滞在です。

食事を終えて薄暗くなった頃、のんびりと外を眺めていると、野生のキツネが挨拶に来てくれました。小部屋へ案内された時に先導してくれた鶏を狙っていたようです(もちろん鶏は無事です)。かなり長い間歩き回っていました。

夜になると、窓の外には一面の星空が拡がっていました。周囲に電気が無いため、ものすごい数の星が綺麗に輝いていました。心身ともにリラックスでき、明日のシルトホルン登頂に向けて準備万端です。今回はここまで。

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