スイス・イタリアの国境を越えて名峰モンテローザの周囲を一周する約180kmのロングトレイル、ツール・ド・モンテローザ(TMR)。氷河歩きや高所歩道などスリル満点のトレイルを体験できるこのコースは、ヨーロッパアルプスのトレイルの中でも屈指の人気コース。今回は1日目の概要(ザースフェー村からグラッヒェン村まで)をお届けします。
出発地ザースフェー(Saas Fee)
TMR出発地点は山岳リゾート地ザースフェー。冬場はスキー客で大変賑わうようですが、夏場は一部の氷河スキー客とハイカーが中心で比較的落ち着いています。
さあTMRトレイル開始です。スタート・ゴール地点はツーリスト・インフォメーション前の広場に設定。この周辺は、アルプス特有の色鮮やかな花々が美しく飾られているほか、大きなネズミ返しのついた伝統的な木造倉庫も立ち並び雰囲気は良好、スタート・ゴール地点には最適な場所です。
さてTMRの標識は早速見失いましたが、街中のメイン通りを北に進みます。美しい花々が至る所に溢れ、また数百年は経つであろう古い建物がモダンにリニューアルされ今でも大切に利用されていたりと、予定外の街歩きを堪能。そして、ルートは標識のある山道に入ります。
町の北端WildiからLammugrabe峠へ ~ アルプスの動物達
ザースフェーの北端WildiからTMRの標識を進んでいくと、スコットランドで以前見かけたモジャモジャの牛を発見。こちらをずっと見つめていたのでカメラを構えると、横からもう一匹、二匹と現れてきたので、しばし写真タイム。
さあトレイル再開、と意気込んで森の中を進んでいくと、今度は野生のシャモアが目の前に出現。また写真タイム。次は黒リス、アイベックスと、トレイル初日から、アルプスの動物たちが歓迎してくれました。そしてルートは気持ちの良い林間コースとなり、徐々に高度をあげてLammugrabe峠へ到着です。
Lammugrabe峠からRote Biel、Stockへ ~絶景の高所歩道コース
Rote Bielへ
ここから本日のメイン、絶景の高所歩道が始まります。真夏でも氷河・残雪が残るヨーロッパ・アルプスの山々を間近に眺めることが出来る、TMR屈指の絶景コースです。
ザース谷を背に急勾配な斜面をトラバースしながら進んでいくと、早速、結構な水量のある沢が出現。近づくと、そこにはトンネルが。幾度となく補強され、今では頑強になったとの説明も。これを抜けて更に高度を上げると視界が開け、お待ちかねの眺望が出現します。
そしてこのコースのもう一つの醍醐味は高度感です。落下防止用のワイヤー・手すりが設置され、1人しか通れない道幅の断崖を進みます。途中、頭上スレスレまでしか掘削されていない巨岩が進路を塞いでいたり、すぐにでも崩落が起きそうなガレ場を越えたりします。これが、結構長い。圧巻は下がえぐり落ちている巨岩。岩に登り絶景を写真に収めた後、岩の全景を見ると寒気がします。
Stockへ
本日のルートの最高地点、Stockへ到着。ここには少しだけですが寛げるスペースがありますので小休止。ここから振り返ると、これまでクリアして来たコースが確認できるうえ、その上部には氷河も見えます。谷向こうの山々も雪で覆われているほか、進行方向にはヨーロッパ最長のアレッチ氷河も視界に入り、雄大な景色が楽しめます。
ただ、本日は熱波が到来中。こんな高所でも、日差しが強すぎて早々に退散です。。。
Stockから宿泊地Grächenへ ~TMR北端を通過、南進へ
Hannigalpまで
小休止の後はTMRの北端、Hannigalpを目指します。ここからも暫くは気の抜けないコースが続きます。どんどん北上していくと、名峰ユングフラウ、メンヒ、アイガーとそのアレッチ氷河を抱く北側のユングフラウ山地、その裾野に広がるVisp の街並みも見えてきます。
北端Hannigalpはスキー場の一部ですが、教会もあるようです。さて、ここから大きく南に折れてツェルマット谷へ進んでいきます。本日のコースも終盤、スキー場のコースを下っていきます。
Grächen
これまでの絶景・スリル満点のコースから一転、面白みに欠ける砂利道のスキーコースを進んでいくと、今日の宿泊地Grächenの町に到着。スイスの高原リゾートです。
冬場にはスキー客でかなり賑わうようです。中心部には、立派な教会やお洒落な花屋さんがあります。今晩の宿へ到着。外見は少し古いかなと思いましたが、中はリノベーションされており、室内の手入も行き届いて快適そのもの。芝生のある教会近くの広場で注文したピザを待つ間、近くのスーパーで買ったビールとサラミで、早々と乾杯!無事、1日目を踏破できました。
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