仏アルプス・ヴァノワーズ国立公園内を周遊するロングトレイル、ツール・ド・ラ・ヴァノワーズ。手付かずの大自然が残り、氷河や美しい山並みを望みながら、約160kmを10日間で踏破。季節外れの積雪に見舞われながらも、高原の牛達が作る特上のチーズや山小屋でのサプライズ・ライブなどトレイル以外の楽しみも満喫。今回は5日目編(概要編はこちら)。
山小屋プラン湖
山小屋アントル・デュー・オー出発
本日の行程は山小屋アントル・デュー・オー(Refuge d’Entre Deux Eaux、標高2,120m)を出発、プラン湖畔を通り、上り下りを繰り返しながら山肌をトラバースしつつ山小屋ヴァロンブルンへと向かう総距離22.9km(登り1,162m、下り1,034m)、所要時間7時間10分のロングコース。
昨晩は夜半から大荒れとなり気温も急低下、テント泊にはとても厳しい展開。開け方には天候も回復、テントを畳み今朝は6時出発。山小屋からルートを下って行くと、遠くの山が何と雪化粧されています。どうやら昨晩季節外れの雪が降ったようで、標高の高い部分は昨日の景色から一変しました。山では本当に何があるか予測出来ません。
昨日登ってきた道まで一度戻り、そこから登りがスタート。中腹まで登ってくると眼下には放牧された牛達が見えます。雪が降ったのに、まるで何事もなかったかのように、いつもと変わらぬ光景。元気に朝食タイムです。更に坂道を登っていくと、礼拝堂(Chapelle St Barthelemy、標高2,284m)がありました。
山小屋プラン湖
礼拝堂の脇を通り道路を横切ると、山小屋プラン湖(Refuge-porte de Plan du Lac、標高2,375m)に到着。プラン湖近くに立つ山小屋で、景色も抜群。今日は季節外れの雪で、山塊も美しく雪化粧。暫くの間、撮影に没頭です。時刻は7時半、山小屋の中では朝食を食べている人達が見えます。
ベルコンブ
山小屋を出発するとすぐにプラン湖があり、ルートは左湖畔沿いを進みます。湖を過ぎると、その先にはロータリーが見えてきました。バス停のあるベルコンブ(Bellecombe、標高2,307m)です。標識によると、ここから今日のゴールまで約5時間半。ルートはここで左に曲がり、緩やかな登り坂の農道を進みます。
後ろを振り返ると雪化粧された山塊が綺麗に拡がっていますが、微妙な具合で雲がかかっています。そのうち晴れるだろう、と思いながら度々振り返るも別の雲でダメ。という確認と撮影を何度も繰り返しながら進むので、ペースは上がりません。通行の邪魔にならない平らな場所が出てきたので、ここで朝食タイムとします。
山小屋キュシェ
朝食
ルート脇には綺麗な花が咲き誇っています。これらの花を鑑賞しながら、山小屋で頂いた朝食セットを頂きます。しっかり休み、9時半にトレイル再開です。
ヴァイヤン分岐点
ルートは農道を離れて、草地が拡がる緩やかな登り区間へ。後方の山並みは未だ雲に覆われ、全容を見せてはくれません。山肌をトラバースするように先へ進んでいくと、前方には深い谷と新たな山塊が見えてきました。眼下には放牧された羊達と農家小屋が見えます(La Turra de Termignon、標高2,305m)。
ここからルートは下り区間となり、森林限界の下まで400m程を一気に下ります。最初は牧草地、続いて林間コースを30分程下るとヴァイヤン分岐点(Pre Vaillant、標高1,917m)に到着。ルートはここから平坦な砂利道の農道を進みます。
花シリーズ
この区間には美しいアルプスの花々が咲き誇っていました。これらの撮影もあってペースは上がりませんでした。
山小屋キュシェ
農家小屋前を通り、番犬に追い立てられるようにして先へ進むと、ランチにぴったりの景色が良く平らな場所を見つけました。ここでランチタイム。農道の脇にシートを拡げてゆっくり休みます。農道を通るハイカー達に声を掛けられながら、煎れ立てのコーヒーと持参した羊羹で優雅な一時を堪能。
1時間程休み、13時トレイル再開。5分程進むと、ルートは農道を離れてトレイル道へ。緩やかな登りを進みます。沢に架けられた石橋を渡り、更に登っていくと、前方に山小屋が見えました。山小屋キュシェ(Refuge du Cuchet、標高2,160m)に到着。今日のゴールまでは残り2時間。尚、この山小屋には常駐の管理人がいないので、宿泊時には全てセルフです。
山小屋ヴァロンブルン
プラン・デ・ラ・シャ分岐点
ここから再び絶景トラバースのスタート。眼下には麓町ランスヴィラール(lanslevillard)、その奥には氷河を纏ったポワント・ド・ロンス山(Pointe de Ronce、標高3,612m)。先へ進むにつれて、少しづつ見える角度が変わり、その度にこの山の撮影に没頭。そんな状態なのでペースは上がらず、後続のハイカーにどんどん抜かれていきます。中にはギターらしき荷物を背負った人もいました。
美しい花々が咲き、マーモットが活発に動き回る中をのんびりと進んで行きます。ルートはほぼ平坦で歩き易く、危険な箇所もありません。沢を越えて、トラバースして、また沢を越えて、というセットを数回繰り返すと、プラン・デ・ラ・シャ分岐点(Plan de la Cha、標高2,370m)に到着。
山小屋ヴァロンブルン
分岐点近くで30分程休憩を取った後、トレイル再開。常に見えていた山も、氷河が正面に見える位置まで来ました。進んでいることが実感出来ると、少し嬉しくなります。トラバース・コースを進んで行くと、直下に農道が見えてきました。この先で農道と合流するようです。そしてそのルート脇に山小屋が登場。本日のゴール、山小屋ヴァロンブルンに到着(Refuge du Vallonbrun、標高2,272m)。時刻は16時。
まずは山小屋でチェックインを済ませます。今日もテント泊なので、条件の良さそうな場所を探します。この小屋も国立公園内の保護区なので、テントを張って良い時間が決まっており、それまでは場所のみ確保。山小屋が風よけになるそうなので、小屋に近い場所を選択。次はシャワー。ここは今回の旅で唯一温水の無い施設。気合を入れて浴びます。また、トイレには水を使わず足踏みで空気を使うエコ仕様のものもありました。洗濯をして夕食までのんびりと過ごします。
サプライズ・ライブ
夕食を食べ終えて眠くなってきた時間ですが、今夜は8時半からサプライズ・ライブがスタート。サプライズといっても、山小屋からすれば事前に案内していましたが。この二人組、日中ギターを担いで歩いていた人達。生演奏でフランスの有名な曲を次々に歌っていきます。内容はさっぱりわかりませんが、みんな大盛り上がり。山小屋の名前を連呼しながら、ハイカー達との合唱も。大変楽しい時間を満喫させて頂きました。
夕焼け
サプライズ・ライブが終わり、テントへ戻ろうとすると、そこには綺麗な夕焼けが拡がっていました。ロングトレイル、想定外の色々な事が起きます。大満足の一日でした。今回はここまで。
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