スイス国内を東から西へと横断する総距離390kmのロングトレイル、スイス・ヴィアアルピナ1(別名:クロッシングスイス、 Crossing Switzerland)。スイス隣国リヒテンシュタインの首都ファドゥーツを出発し、スイス国内の風光明媚な絶景を満喫しつつ、全20ステージ・14の峠を越えて(累積標高差23,600m)、レマン湖畔の町モントルーを目指します。今回は18日目(シャトー・デー~ロシェ・ド・ネイユ)編です(概要編はこちら、次回最終回はこちら)。
ロシニエール
シャトーデー出発
本日の行程は、宿泊地シャトー・デー(Chateau d’Oex、標高958m)を出発、ロシニエールを経てリンダーライ峠を越えラ・ヴィシュード・ダン・バへ下り、その後ロシェ・ド・ネイユへと登り返す総距離25.0km(登り1,900m、下り1,100m)、所要時間8時間50分のロングコース。
今日も長い一日なので早朝出発、宿を5時半に出ます。町の中心部に泊まったので、観光も兼ねて繁華街を進みます。町はまだ寝静まっていますが、パン屋やチーズ屋などに加えてアートギャラリーもあります。歴史ある町並みが観光客を惹き付けているようです。
ロシニエール
シャトー・デーの町を出て、隣町のロシニエールへ向かいます。やや下り気味で、畑の脇を通るルートを進んでいきます。徐々に朝日が当たりつつあり、山並みの上部が赤く染まり始めました。空を見上げると、雲に光が当たり、黄金色に輝いています。こうした光景をみると、朝から幸せな気分になります。
出発から1時間程でロシニエールの町が見えてきました。町へと続く橋の手前には、既に明かりのついたお店が。立ち寄ってみると、中でチーズを作っているので暫し見学。残念ながらまだ開店前だったので、購入を断念。橋を渡っていくと、茲数日挨拶を交わしていたスイス人と再会。今日ゴールを目指す、ということでお互いの幸運を祈りここでお別れ。
町中散策
6時50分、ロシニエール(Rossiniere、標高882m)到着。まずは鉄道駅へ向かい、お目当てのスタンプをゲット。時間に余裕はないものの、小さな町なので少しだけ町中散策へ。ロシニエールで特に有名な建物は、1754年創建のグラン・シャレー。スイス最大規模の木造建築で、後にホテルとなり、「レ・ミゼラブル」で有名な文豪ヴィクトル・ユゴーも滞在した由緒ある建物。飼育されている狼、古い町並みを巡り、ルートに戻ります。
リンダーライ峠
ラ・タンシャン
橋を戻りルートに合流、山へと入ります。ここから急登開始。林の中の急勾配をジグザグ道で登ります。道幅が狭い上、足場が砂利で滑り易く、岩が露出している場所も。ワイヤーが頻繁に張られており、鉄製梯子も設置されているので、ルート整備は行き届いています。じっくりと1時間40分程かけて登りきると、開けた牧草地に出ました。ラ・タンシャン(La Tanchin、標高1,310m)に到着、ここで朝食タイム。
ソロモン峠
9時半、朝食を終えトレイル再開。しばらく進むとルートは再び林の中へ。ただ、先程よりも勾配は緩やかなので、ペース良く進みます。林を抜けると、開けた斜面に出ました。ここでも放牧が行われているようで、豊かな牧草地が拡がっています。砂利道の農道や道路を進んで行くと、約1時間でソロモン峠(Col de Sonlomont、標高1,503m)に到着。遠くには特徴的なロシェ・ド・ネイユの山容も見えてきました。
リンダーライ峠
ここからは絶景ルート。本日のゴールであるロシェ・ド・ネイユの山並み、その手前にはエメラルド色の美しい湖。足元も良く、どんどん進みます。すると前方に農家を発見。近寄ってみると、養豚です。勿論放牧された牛もいますが、養豚はあまり見なかったので早速撮影。ルートは山道となり、これを登っていくとリンダーライ峠に到着(Linderrey、標高1,669m)。時刻は11時20分、ここでランチ休憩。
ショード峠
ヴィシュード・ダン・バ
ゆっくり休んで12時20分、トレイル再開。ゴールのロシェ・ド・ネイユまでは残り約4時間。ここからは、まず谷底のヴィシュード・ダン・バまで一気に下り、その後登り返し。見晴らしの良い牧草地帯を下って行きます。途中ルートが分かり難く、少し迷いましたが、GPS時計に助けられて無事ルートへ復帰。1時間程でヴィシュード・ダン・バへ到着(La Vuichoude d’en Bas、標高1,103m)。道路を渡り、ここから登り返しがスタート。
ショード
登り始めるとルートは林の中へ。それを抜けると再び牧草地に。30分程登ったところに牛飼小屋を発見。牛達用の水場もあります。暑さと長丁場で水パックが大分減っていたので、ここでしっかりと補充。飲んでみたところ問題なさそう。再び林の中を抜けて先へ進んで行くと、放牧された牛達が登場。近づいていくと次の小屋も見えてきました。14時半、ショード(Chaude、標高1,475m)に到着。
ショード峠
ショード小屋から舗装された農道を登っていきます。徐々に高度があがり、振り返るとショード小屋も良く見えます。30分程登るとショード峠に到着。ここからロシェ・ド・ネイユまでは残り1時間15分。そして峠の少し先まで足を延ばすと、ついに、ついに見えました。レマン湖です!大きい。いよいよ、ゴールが視野に入ってきた感覚です。小休止してから、登りを再開。
ロシェ・ド・ネイユ
稜線歩き
峠から20分程登ると、美しい稜線に出ます。進行方向左手にはレマン湖、右手にはこれまで進んできた道。少し感慨深くなりますが、まだ油断は禁物。気持ちを落ち着けて、絶景の稜線を進みます。日差しが強く遮る木陰がないので、暑さが堪えます。上り下りを数回繰り返すと稜線歩きは終了、いよいよ最後の登りに入ります。
ロシェ・ド・ネイユへの登り
斜面をトラバースするようにして、岩山頂上へとルートが続いています。ゆっくりと登り、いよいよ頂上、かと思いきや、ルートは反対側の斜面へ続きます。すると今度は大きな建物群が見えてきました。ロシェ・ド・ネイユです。そう、今日のゴールはこの山頂。ここには麓町から続く鉄道駅があり、山頂はホテルになっています。17時、ロシェ・ド・ネイユ(Rochers de Naye、標高1,980m)に到着。
ロシェ・ド・ネイユ
長い一日で疲れ果てましたが、夕飯は展望レストランでラクレットの食べ放題。夕暮れ時には、空が赤く染まり、レマン湖が綺麗に見えました。そして、大事なスタンプを忘れずにゲット。ロングトレイルもいよいよ明日が最終日、確り休んで完全踏破を目指します。今回はここまで。次回最終回はこちら。
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