【VA1概要編】 Swiss Via Alpina 1/スイス横断のロングトレイル概要編

スイス・ヴィアアルピナ1

スイス国内を東から西へと横断する総距離390kmのロングトレイル、スイス・ヴィアアルピナ1。スイス隣国リヒテンシュタインの首都ファドゥーツを出発し、スイス国内の風光明媚な絶景を満喫しつつ、全20ステージ・14の峠を越えて(累積標高差23,600m)、レマン湖畔の町モントルーを目指します。今回は概要編。

上記写真のルート標識:ドイツの大詩人ゲーテ曰く、”You’ve only truly been somewhere if it was on foot.”。

スイス・ヴィアアルピナ1(Swiss Via Alpina 1)

スイスのナショナル・ハイキングルート

ヨーロッパ・アルプスの三大名峰(マッターホルン、ユングフラウヨッホ、モン・ブラン)をはじめ、スイスには雄大な氷河や山塊などアルプスを代表する大自然の景観が数多く存在します。本ブログでも、これらの絶景を満喫するロングトレイルを幾つかご紹介していますが、今回は新たなトレイルに挑戦です。

スイス観光局によれば、スイスには国内を横断する7つのナショナル・ハイキングルート(National Hiking Route)があり、いずれも総距離が数百キロのロングトレイルです。これら7つのトレイルの中で最も人気が高いのが、ルート番号1のヴィアアルピナ(Via Alpina)と呼ばれるルートです。

スイス・ヴィアアルピナ1(Swiss Via Alpina 1)

ヴィアアルピアとは幾つもの国々に跨るヨーロッパアルプス全体を横断するルートで、今回チャレンジするのは、このうち特に風光明媚と言われるスイス近隣部分を、東から西へと横断するトレイルです(別名、Crossing Switzerland)。

正確にはスイス隣国リヒテンシュタインの首都ファドゥーツ(Vaduz)から出発し、スイス・レマン湖畔の町モントルー(Montreux)を目指す総距離390kmのロングトレイルです。尚、ガイドブックによっては出発地点が異なるものの、このブログではスイス観光局の定義で記載します。

ルートは全20区間からなり、累積標高差は23,600m、14の主な峠を越えます。オーバーランド三山(アイガー、メンヒ、ユングフラウヨッホ)の麓町グリンデルワルトや、メレンゲ発祥の町マイリンゲン、シャーロックホームズで有名なライヘンバッハの滝など、スイスの有名観光地も訪れる、正にスイス満喫のトレイルと言えます。

おすすめのグッズ

ガイドブック

ルート概要に入る前に、関連情報に触れておきます。まずはガイドブックですが、今回は以下の本(英語)を参考にしました。このシリーズはこれまで踏破したロングトレイルでも毎回利用しており、ルート検討に必要な情報が網羅されています。また、今回はこの本をベースとしつつ、以下で紹介しているアプリと腕時計のナビゲーション機能をフル活用してチャレンジしています。

尚、公式ガイドブックも出版されています。

Trekking the Swiss Via Alpina: ペーパーバック – 2024/1/31

スイス・ヴィアアルピナ1 トレッキングガイド(英語)

Via Alpina ペーパーバック – 2019/6/1

スイス・ヴィアアルピナ1 公式トレッキングガイド(ドイツ語)

ウェブサイトとアプリ

このルートはスイスとリヒテンシュタイン公国が国で管理しているトレイルの1つです。このためウェブサイトも情報量が多く充実しているうえ、現地地図も網羅した利便性の高い携帯アプリも利用できます。これらは両国の観光局や周辺の自治体などが協働で運営・管理しています。

特に、公式ウェブサイトと携帯アプリの現地地図は非常に有用で、携帯アプリの地図についてはトレイル中でも十分活用出来ました。尚、上記サイトではハイカー用(歩き道)の「国道」「地方道」「ローカル道」に加えて、「バリア(オブスタクル)フリー道」も整備されています。

スタンプ帳

ヴィアアルピナにはスタンプ帳が発行されており、ルート上の要所には各地域の特色を反映したスタンプが設置されています。スタンプは全20ステージと15の峠に1つずつ、そしてスペシャル版3つの合計38個で、全スタンプを集めるとトレイル踏破の証明書を貰うことができます。

スタンプ帳は無料で、上記サイトで申請すれば自宅に郵送して貰えます。こんなにしっかりとスタンプが整備されたトレイルは初めてでしたが、実際やってみると結構楽しめました。(ドロミテで山小屋スタンプを集めることもできます)ただし、疲れているとスタンプのことを忘れがちになるので、お気を付け下さい。

腕時計

ロングトレイルでは必需品と言える腕時計も案内しておきます。以前は道に迷うと地図を見てルートを確認していましたが、近年はスマートウォッチの性能が向上し、GPSナビゲーション機能を利用して簡単にルート確認が行えるようになりました。

今回はこれまでのロングトレイルの中でも最長となるので、安全重視で最新機能を搭載した腕時計を購入。従来スント(SUNNTO)社の腕時計を利用していたので、今回も使い慣れた同社の時計を選択。ヨーロッパ・アルプスの主なトレイルコースは、同社のアプリで無料共有されていることが多く、ルートの入力も簡単です。

トレイル中はナビゲーション機能を最も利用しますが、それ以外にもコースタイムや距離、獲得高度、心拍数、疲労度の計測等も出来ます。岩場等でぶつけても大丈夫なように、時計の表面はサファイアガラス、フレームはチタンを選択。コンパクトで軽く、デザインも通常使いできる、使い勝手の良い時計です。以上、ご参考まで。

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コース日程

さて、コース概要に戻ります。今回実際に踏破したコース日程は全20日間(除くプロローグ)、総距離は388km(図表1参照)です。上述の通り、スタート地点はスイス隣国リヒテンシュタインの首都ファドゥーツ、ゴール地点はレマン湖畔の町モントルーとし、完全踏破にチャレンジしています。Cicerone社ガイドブックに掲載されていた最初の区間はプロローグとしました。

宿泊先については、ホテル・山小屋を問わず、全泊個室に宿泊しました。各ステージのスタート・ゴール地点には宿泊施設が幾つかあるので、トレイル開始前に全て予約しておきました。トレイル中、持参のテントで寝泊まりしているハイカーもいたので、キャンプ場を利用することも出来そうです。それでは今回のトレイル概要について、ハイライトをご紹介します。

図表1:行程表

日数行程距離上り下り時間
プロローグGaflei – Vaduz6km0m1,000m2 h 10 min
1日目Vaduz – Sargans22km480m600m5 h 20 min
2日目Sargans – Weisstannen13km820m300m4 h 15 min
3日目Weisstannen – Elm22km1,400m1,450m7 h 50 min
4日目Elm – Linthal25km1,650m1,950m9 h 10 min
5日目Linthal – Urner Boden16km1,100m380m5 h 25 min
6日目Urner Boden – Altdorf (UR)30km1,050m1,900m9 h 00 min
7日目Altdorf (UR) – Engelberg26km2,100m1,500m10 h 05 min
8日目Engelberg – Engstlenalp12km1,300m440m5 h 00 min
9日目Engstlenalp – Meiringen22km740m1,950m7 h 00 min
11日目Meiringen – Grindelwald23km1,500m1,100m7 h 50 min
12日目Grindelwald – Lauterbrunnen20km1,200m1,400m6 h 40 min
13日目Lauterbrunnen – Griesalp22km2,150m1,400m9 h 00 min
14日目Griesalp – Kandersteg17km1,520m1,700m7 h 30 min
15日目Kandersteg – Adelboden16km1,450m1,250m6 h 50 min
16日目Adelboden – Lenk14km700m1,000m4 h 30 min
17日目Lenk – Gstaad25km1,150m1,150m7 h 30 min
18日目Gstaad – Chateau d’Oex25km1,500m1,500m9 h 30 min
19日目Chateau d’Oex – Rochers de Naye25km1,900m1,100m8 h 45 min
20日目Rochers de Naye – Montreux13km100m1,650m3 h 50 min
合計(プロローグ除く)388km23,810m23,720m

ロングトレイルのハイライト

 トレイル序盤

トレイルはリヒテンシュタインの首都ファドゥーツからスタート。まずはライン川を渡ってスイス領に入り、比較的平坦な道を進んでザルガンス(Sargans、標高483m)へと向かい、ここから高度を上げて山間部の村ヴァイスタンネン(Weisstannen、標高1,003m)へ登ります。次に、アルプスの花々が咲き誇る絶景ルートを進んで最初の峠フー峠(Foopass、標高2,222m)を越え、「マーティンの穴」で有名なエルム村(Elm、標高977m)へと下ります。

エルムからは、登り返しで2つ目の峠(Richetlipass、標高2,260m)を越えてリンタール(Linthal、標高662m)へ下ります。再び山道でウルナーボーデン(Urnerboden、標高1,372m)まで登り返した後、3つ目の峠(Klausenpass、標高1,948m)を含む30kmの長丁場を経て、スイスのヒーローであるウイリアム・テルで有名なアルトドルフ(Altdorf、標高458m)へ下ります。

序盤最後は、アルトドルフから約2,000mの急登で4つ目の峠(Surenenpass、標高2,292m)を越え、山岳リゾートとして有名なエンゲルベルグ(Engelberg、標高1,004m)へ下ります。このように、ヴィアアルピナでは日々峠を越えながら、町から町へと移動していきます。

(ご参考)【スイス】エンゲルベルグの修道院とハイキング概要編

トレイル中盤

中盤ではスイスの有名観光地を進みます。エンゲルベルグからは、ヨッホ峠(Jochpass、標高2,207m)を越え、絶景の湖巡り(ハイキング記事)を楽しみつつメレンゲ発祥の地マイリンゲン(Meiringen、標高595m)へと下ります。シャーロックホームズ終焉の地として知られるライヘンバッハの滝を越え、グローシェ・シャイデック(Grosse Scheidegg、標高1,962m)まで登ると眼下にはグリンデルワルト(標高1,034m)の町が拡がります。

グリンデルワルトからは、アイガー北壁を眺めつつ、クライネ・シャイデック(Kleine Scheidegg、標高2,061m)まで登り返します。美しいオーバーランド三山を間近に感じつつ、これを横切るようにウェンゲン(Wengen)経由で、名瀑シュタウプバッハ(Staubbachfall)のあるラウターブルーネン村(Lauterbrunnen、標高802m)まで下ります。

続いて山道を進んで崖の上の町ミューレンへ登ると、以前登頂した名峰シルトホルンが眼前に迫ります。ここから2つの峠(Sefinafurgga<標高2,611m>、Hohturli<標高2,777m>)を越えると、氷河と湖の絶景で名高い人気の観光地カンダーシュテグ(Kandersteg、標高1,176m)に到着です。

(ご参考)シルトホルン登頂:【TJR9日目前編】ツール・ド・ユングフラウ~ロングトレイル

トレイル終盤

終盤でも峠越えが続きます。カンダーシュテグから最初の峠(Bunderchrinde、標高2,382m)を越えて、山岳リゾートの村アデルボーデン(Adelboden、標高1,350m)へ進みます。スキーリフトと並走するように次の峠(Hahnenmoospass、標高1,949m)を超えると、硫黄泉の温泉地として知られるレンク(Lenk、標高1,068m)の村です。

さらに峠(Trutlisbergpass、標高2,032m)を超えると、これまでの町とは異なり、高級ブランド店が軒を連ねる山岳リゾートの町グシュタード(Gstaad、標高1,050m)です。この辺りから峠の標高が2,000m以下となりますが、まだ峠は続き、ここから2つの峠(Col de Jable<標高1,883m>、Col de Chaude<標高1,621m>)を超えます。

そして最後の峠(Rochers-de-Naye)を超えると、眼下には雄大なレマン湖が拡がっています。麓町から登山鉄道が敷設されているので、峠は多くの観光客で賑わっています。湖まで下っていくと湖畔の町モントルー(標高374m)に到着。長かったトレイルもこれでゴールとなります。

宿泊事情:ホテル・山小屋の個室

今回は宿泊先を選ぶにあたり、ホテル・山小屋を問わず、個室確保を条件としました。この結果、宿泊先は山岳ホテルやゴンドラ駅に併設された山小屋、農家が経営する山小屋などでした。予約は全てオンラインまたはメールで完了。数年前では「予約は電話のみ」という先もありましたが、今では予約も簡単です。

山小屋ではベッドと食事(夕・朝食、お昼のランチパックも可)が提供されます。大半の宿では温水シャワーの利用や電子機器の充電が可能ですが、例外もあるのでご注意下さい。各日程の個別編も書いていきたいと思います。

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