【VA1-D13】 Swiss Via Alpina 1/スイス横断のロングトレイル13日目

スイス・ヴィアアルピナ1

スイス国内を東から西へと横断する総距離390kmのロングトレイル、スイス・ヴィアアルピナ1(別名:クロッシングスイス、 Crossing Switzerland)。スイス隣国リヒテンシュタインの首都ファドゥーツを出発し、スイス国内の風光明媚な絶景を満喫しつつ、全20ステージ・14の峠を越えて(累積標高差23,600m)、レマン湖畔の町モントルーを目指します。今回は13日目(グリーサルプ~カンダーシュテグ)編です(概要編はこちら)。

ブンダルプ小屋

ゴルダリ出発

本日の行程は、山小屋ゴルダリを出発し、ブンダルプ小屋を経てホーテュルリ峠へと登り、その後は絶景ポイントであるオエシネン湖畔を通ってカンダーシュテグへ下る総距離19km(登り1,450m、下り1,680m)、所要時間8時間のコース。

今朝は6時半に山小屋ゴルダリ(Golderli、標高1,440m)を出発。昨日よりは遅いスタートで、外は快晴。まずはスタンプボックスのあるグリーサルプへと向かいます。林の中へと延びる歩き道を進んで行くと、いきなりアルパカの行列に遭遇。次から次へと押し寄せてきます。行列が通り過ぎるのを待って、トレイル再開。

グリーサルプ

アルパカに遮られましたが、山小屋ゴルダリから15分程でグリーサルプへ到着。まずはバス停付近でスタンプをゲット。ここには宿泊施設が幾つかあり、今からスタートする宿泊客もいます。さて、ここから山道へと入り、峠へと続く登りが始まります。

最初のうちは林の中を進みます。途中小川を渡り、その後も山道をどんどん登っていきます。すると前方の視界が徐々に開けてきました。景色から木が少なくなり、牧草地へと変わっていきます。太陽も上空に登りはじめ、気温も上昇。遥か先の山並みまで見通せるところまで来ると、山小屋を発見。山小屋ブンダルプ(Bundalp、標高1,840m)に到着、グリーサルプからは約1時間半です。

ブンダルプ

時刻は8時半を過ぎた頃。山小屋に宿泊していたハイカー達が朝食を終えて続々と外に出てきます。遠くに見える峠らしき場所には山小屋が小さく見えます。ホーテュルリ峠には山小屋があるので、これで峠の位置は確定。今から1,000m強の登りです。それではトレイル再開。

ホーテュルリ峠

峠中腹への登り

牧草地の斜面を登っていきます。地表が剥き出しになっている箇所は砂利交じりで滑り易い状態ですが、この辺りは草が根を張っているので比較的足場は良好。先はまだ長いですが、快晴、かつ視界も開けているので、絶景を満喫しながら一歩一歩着実に登っていきます。

ホーテュルリ峠を通ってカンダーシュテグへと抜けるこのルートは、スイスの中でも屈指の絶景ルートと知られ、前後には多くのハイカーがいます。先のルートも見通せるので、自分がどこまで進んできたか一目瞭然。まだ中腹あたりと分かりつつも、それでもつい後ろを振り返り、登ってきたルートを眺めてしまいます。

動物鑑賞

ここで少しこの峠越えで出会った動物を。まずは常連のマーモット。次に、ベンチを占拠していた牛。ここには放牧された牛達が沢山います。最後はシャモア。岩場の斜面に群れで来ていました。同じタイミングで登っていた身軽な親子が真っ先に見つけて教えてくれます。

峠への登り

峠へのルートは厳しさを増します。足元の草はなくなり、ルートは完全なガレ場に。滑り易いジグザグ道で高度を上げた後、岩壁沿いの鎖場を抜けていきます。最後は木製階段の連続。下から見上げると、とんでもないルートに見えますが、実際登っていくと、然程恐怖感はありません。そして昨日の峠同様、チャレンジし甲斐のあるルート。良く切り開いた、と感心してしまいます。

これまで登ってきたルートを振り返り、撮影している人も多数いますが、最後まで気を抜かず、一歩一歩登っていきます。そして、とうとうホーテュルリ峠(Hohturli、標高2,778m)に到着。ここは、本ロングトレイルの中でも最高地点。

峠での寄り道

峠からの景色

この峠からも絶景が拡がっています。歩いてきた道、これから進む道、どちらも抜群の風景。そしてここからは、氷河まで行くことが出来ます。まずは峠の真上にある山小屋へと向かいます。ヴィア・アルピナのルートからは外れるので、ここからしばらくは寄り道。モレーンの上に作られたジグザグ道を登ります。

山小屋ブリエムリーザルプ

峠から山小屋ブリエムリーザルプまでは約10分。ここも人気の山小屋で予約が取りづらい施設。氷河へのルートはこの脇から伸びています。山小屋からは峠の先へと続く稜線を一望出来ます。

ブリエムリーザルプ氷河

それでは早速氷河へ行ってみます。以前にも何度か氷河の上を横断したことがあります(以下記事ご参照)が、氷河に近づくにつれ、ワクワク感が高まります。ルートは確りと氷河へ伸びており、記念撮影を楽しむハイカーもいます。すれ違ったハイカーからは、「氷河の匂いが楽しめるよ」と。

そしてブリエムリーザルプ氷河に到着。地面と氷河の境目は、近くまで来ると意外と分かり難く、岩場の地面に雪や氷が混じってきたという印象です。雪渓の上に、石がゴロゴロと乗っている様な状態。それでも地面をよく見ると氷の塊。ここはロングトレイル屈指の絶景ポイントと言えます。寄り道してきた甲斐がありました。大満足の一時、ここでランチ休憩とします。

(ご参考)【HR6】オート・ルート/モンブランからマッターホルン~ロングトレイル6日目

(ご参考)【TMR4】ツール・ド・モンテローザ~ロングトレイル4日目

オエシネン湖

峠からの下り

さて、再び峠まで戻り、トレイル再開。時刻は12時半を過ぎた頃。今日はここから長い下り。下り始めはモレーンで出来たガレ場で、部分的に階段や橋なども整備されていますが、それでも滑り易い箇所が多く慎重に進みます。20分程下ると斜度が緩やかになり、地面には草が生える場所となります。

氷河撮影

そしてここからが絶景ポイント。谷を隔てた先には雄大な氷河。以前はもっと雄大な氷河だったと推察されますが、現在は大分溶けて後退している様子。それでもこの氷河の前を横切るようにして進んで行くと、撮影タイムが止まりません。少し進んでは角度の違う写真を撮り、また進んでは、という具合。それほど美しい絶景が拡がっています。

そしてこのルート、左側は切れ落ちています。谷底にあるのは氷河湖。この谷自体がU字谷で、氷河によって削られた様子が良く見て取れます。氷河に最接近し直接触れてみると、氷河が巨大な「氷」の塊であることを良く理解出来ますが、少し引いた位置から全体を眺めてみると、これはまた違った光景、即ち氷の「河」のように見えてきます。つい、長居をしてしまいました。

オエシネン湖

氷河を背にして下ってくると、休憩小屋(Oberbargli、標高1,978m)に到着。そしてここから次の絶景がスタート。そう、スイス屈指の美しさを誇るオエシネン湖が登場。氷河湖特有のエメラルド色、その真上には氷河を纏った雄大な山塊。再び撮影タイムが止まりません。

崖沿いに設けられたジグザグ道を下って湖畔沿いへと向かいます。この辺りからハイカー、いやむしろ観光客が一気に増えます。オエシネン湖には、本日のゴール・カンダーシュテグからロープウエイが出ているので、身軽な観光客がこの辺りまで散策に来ています。

オエシネン湖畔

下りで大分疲労が溜まってきたので、湖を眺めながら一休み。コーヒーを沸かして優雅な一時を過ごします。が、日差しが強く、結構暑い。氷河が近くにあるにもかかわらず、です。残念ですが、早々に休憩を切り上げてトレイル再開。湖畔沿いを進んで行きます。

オエシネン湖に到着(Oeschinensee、標高1,593m)。ここはこれまでのトレイルとは別世界。大混雑の湖畔リゾートでホテルなども立ち並びます。湖で泳ぐ人、湖畔沿いで寝転がり日光浴を楽しむ人、など。とにかく人が圧倒的に多い。確かにこの絶景ポイントにリフトで簡単に来れると思うと、この人の多さも頷けます。

カンダーシュテグ

オエシネン湖からの下り

あまりの混雑ぶりに驚きを隠せず、雑踏から逃げるようにしてルートを進みます。大半はロープウエイの方に向かいますが、それでも一部はトレイルコースを下って行くようです。軽装な観光客と一緒にのんびり下ってきます。ルートはよく整備されているので、観光客の方々でも問題ないようです。途中林の中を抜けて、川沿いを進んで行くと、カンダーシュテグまで残り僅か。湖からは約50分程です。

カンダーシュテグ

そして無事本日のゴール、カンダーシュテグ(kandersteg、標高1,174m)に到着。時刻は17時半。インフォメーションセンターの前に、見慣れたヴィア・アルピナの案内を発見。そこにスタンプボックスがあります。今日はスタンプ3つゲット(ホーテュルリ峠、ボーナス、カンダーシュテグ)。今日は絶景の連続で、想定以上に時間がかかりましたが、大満足の一日でした。今回はここまで。

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